ここに1枚の写真があります。
3pcのバンブーロッドの入った竿袋の写真です。
これからのお話は、この写真が大きく関わる話なのです。
私は源流でのフライフィッシングが好きです。
理由は色々ありますが、良く釣れること、景色がいい事、サイトフィッシングしやすい事、少しは痩せるかもしれない事が挙げられます。
現流域には危険がつきものです。
滝を巻いたり、岩を上ったり、そのため常に両手が使えるのが理想です。
私はグラスロッドも作製するのですが、どれも5~6ピースのパックロッドなのは、フライベストのバックポケットにパックロッドを忍ばせて歩くことができるからです。
SNSに釣行写真等を投稿することも増え、写真撮影にもこだわる必要が出てきている昨今、やはりせっかくの写真にはお気に入りのバンブーロッドとお気に入りのリールと渓魚を収めたいと思うのは誰しもが思うことだと思います。
いつもはグラスロッドで釣りをする現流域ですが、たまにはバンブーロッドで釣りをしようと考えたのは 当然の成り行きなのです。
私の通う源流は最終地点から車まで2.5時間程度かかるので、トラブルがあってもすぐに車に戻って.....と言うわけにもいかないため、常にグラスのパックロッドをベストのバックポケットに忍ばせております。
朝早くに目的地の車止めに到着し、準備を済ませ、まだ薄暗い中、3pcのバンブーロッドを持って歩き始めました。
天気が続いたせいで水量が少なく、シビアな釣りになりそうな予感です。
とりあえず今日は車止めから1時間程度歩いたところからロッドを出すことにしようと考えながら歩きます。
途中、高巻きする箇所があり、休憩をはさみながら歩いていきます。
何度となく休憩し、あと10分ほどでロッドを出す場所に到着する頃に、それに気が付いたのです。
「手に持ってたバンブーロッドがないやん」
呆然と立ち尽くしながら、どこに置き忘れたのか回想するんですが、既にテンパってる状態なので全然思い出せないのです。
全く心当たりがないのでどこまで引き返していいのかも判らない。
と言うことで、背中のパックロッドで釣りをすることに決めて歩き始めました。
歩きながらもどこに置き忘れたのか思い出そうとするのですが無理でした。
少しづつ朝日が渓を照らし始めて、竿を振り始めたのですが、中々渋い。
それは水量のせいなのか、脳内が未だに間抜けな行動にテンパっていたからなのかはわかりません。
釣りの最中も「置き忘れた場所によっては後続者に持っていかれてしまう可能性もあるわけで、引き返したほうが良かったんだろうか?」などと考えていると一向に釣れません。
自分で作ったロッドなので、なくなってしまったのであればまた作ればいい!と思い始めたあたりからポツポツとつれ始めたような気がします。
イワナを釣りたかったので、何とか釣れてよかったのですが、この写真に納まるのはグラスロッドではなく、バンブーロッドのはずだったのです。
気温が上がるにつれ、結構釣れるようになってきたのですが、サイズが上がりません。
前回良型がいたポイントには今回もいたので、回遊するルート上にフライを置いて待っているとパクンと食べてくれました。
全てサイトで一部始終を確認できるのは非常に楽しいです。
SNSに投稿云々言ってますが、それなら写真をもう少し丁寧に撮影する必要があるようです...。
使用したフライはいつものやつなんですが、カラーによる喰いの違いがあるようでした。
明るいカラーよりもダークカラーの方が明らかに釣れるんです。
ボディカラーはブラウンかブラックで少しフライを巻いておこうと思いました。
さて、釣りを終え、帰路につき、途中まで歩いたところで下流から沢師が上がってきました。
ロッドを見かけなかった?と聞くと見てないとの返答だったので、どのルートでここまで来たのか聞くと私とは異なるルートだったので、この異なったルート途中にバンブーロッドがあると考えられます。
その区間で休憩したのは1か所だけなので、あるとすればあの場所か!
一時はなくなっても仕方ないと考えていましたが、あの場所なら今日は誰も通っていないかも?
そう思うと足取りも軽くいつもよりハイペースで歩いている自分がいました。
そうです。
そして1時間後1枚目の写真となるのです。
ロッドが無事だったことが勿論うれしいのですが、それよりもそのロッドを忘れてしまった自分が情けなくて......。
いつもは両手を使えるようにしてるから忘れてしまったんだとか、都合のいい理由を探そうとしますが、老いが迫った自分を改めて感じる出来事だったのです。
バンブーロッドを持って釣りに行き、グラスロッドで釣りをして、バンブーロッドを持って帰る。
はあ~ 情けない.....。