先日のブログで書きましたマグネットリリーサーの続きです。
実際に加工するのにどの程度の時間が掛かるものなのか読めなかったので、10セット分を加工して、加工時間を実測しようと考えました。
私の加工するマグネットリリーサーはメタルボディとウッドとカバープレート、マグネット、止めネジで構成されています。
まずメタルボディの加工は前回報告したようにNCプログラムを作成したので、φ15mmの材料をNC旋盤にセットしてスタートさせると15分で外形加工が終了します。
1セット分なら加工時間30分です。
外形加工後は規定長さに突っ切り加工します。これは加工時間3分程度で1ッセット分の突っ切り加工終了です。
その後切断面の端面加工を行ないます。1セット5分程度で加工できます。
次に個別に分断されたメタルボディにマグネットを埋め込むための座グリ加工を行います。
センタードリルで中心穴加工して6mmのドリルで2mmほどドリル加工して10mmのドリルでも同様に2mmほどドリル加工を行ないます。
その後φ10mmのエンドミルでマグネットの厚みと同だけ座グリを行います。
この座グリ加工は1セット1セット10分程度です。
座グリ加工後この座グリ部分にメネジ加工を行ないます。
マグネットは穴あきタイプのマグネット選定しており、このマグネットをねじ止めするためのメネジ加工です。
これもセンタードリルで中心穴加工してφ2.4mmのドリル加工して、M3のタップ加工を行ないます。
1セット10分程度の時間が掛かります。
次にメタルボディのシャフト部分にリングを通すための貫通穴加工を行ないます。シャフト径が4.5mmなのでφ2.6mmのドリル穴加工を行ないました。
1セット約5分
これからはメタルボディの研磨加工です。シャフト部分とマグネット埋め込み部分の周辺を研磨していきます。
1セットの研磨時間15分
ウッド部分の加工は、まず20mm角で長さ100mmの角材をφ16mm程度の円筒加工を行ないます。このウッドはリールシートフィラー用に加工しておいたものを使用しており、大好きな花梨を選んでいます。
円筒加工後に中心穴加工としてφ8.5mmのドリル穴加工を行ないます。
ここまで20分程度の時間を要します。
次に長さ100mmの円筒パイプ状のウッドを3分割に突っ切ります。そして中ぐりバイトでφ11.6mmに加工します。
1セット分で約10分の加工時間です。
その後長さを10mmになるように突っ切り加工して個別化していきます。
個別化されたウッドはなだらかな形状になるように研磨加工していきます。#320、#400、#600、#800、#1000、白棒まで研磨加工を行ないます。
1セットの研磨時間は20分程度
ウッドはこの後ウレタン樹脂コーティングを行います。
コーティング時間は1セットトータルで10分程度ですが何回もコーティングは繰り返します。乾燥時間はかなり長いです。
カバープレートはφ15mmの材料をφ13.5mmまで外形加工し、センタードリル加工してφ4.5mmのドリル穴加工を行ない、0.8mm幅になるように突っ切り加工を行ないます。
1セット分の加工は約5分
カバープレートも研磨を行います。
研磨時間1セット10分
後はマグネットの取り付けとウッド、メタルカバーの取り付け1セット分で約10分程度です。
今までの加工時間をトータルすると1セット分は163分となります。
どうでしょう 結構時間が掛かっていると感じませんか?
マグネットリリーサーの価格は各社各様だと思います。時間が掛かっているからなんて購入者にとっては知ったことではありません。
時間短縮を図るために、部品点数の削減や研磨工程の廃止等色々と考えられますが、それは、私の欲しいものではなくなってしまうのです。
あくまでも基準は自分が欲しいもの!
これにつきます。
各パーツの分解図です。
私がマグネットリリーサーに求めるものは、まず、信頼性です。
ウッドにマグネットを接着して、ヒートンを接着したマグネットリリーサーも良く見かけます。
異種材料同士の接着はトラブルの原因になります。
もし、マグネットが外れたら.....。ヒートンが抜けたら.....。
そんなトラブルを無くすために接着が剥離しても基本機能に影響しない構造にしようと考えました。
マグネットは接着だけでは心配なので、あえて穴あきマグネットにしてネジ固定を併用しています。
信頼性を確保することを大前提として、次に機能美だと思っています。
メタルカバーなどなくても問題ないのですが、デザイン的には必要なんだと考えています。
マグネットリリーサーのような比較的単純構造のものでも用途、機能を考えて、信頼性を高める工夫を施して、その上で見た目に綺麗だと感じるようなデザインだったり、丁寧な作り込みであったり、その辺を吟味していただければ良さが判っていただけるものと信じております。