リールシート金具の機械加工が終了して、研磨加工を残すのみとなりました。
機械加工のツールマークを研磨するためには#400程度のサンドペーパーから順に研磨を行っていきます。
#400、#600、#800、#1000、白棒、ピカール。#8000、#12000とやっていくのですが、
少しでも早く終わらせようとすると、荒い番手の研磨痕が消し切れてなくて、結局やり直しになってしまうので、ゆっくりと時間を掛けるほかに手段はありません。
まさに「研磨に近道はなし」なのです。
リングのように曲線で構成されているものは研磨が難しく思われがちですが、直線部分の多いCapの方が研磨は難しいのです。
ごまかしがきかないというか、反射状態を確認しやすいために粗が判り易いのです。
50個を超える数量の研磨になると、各番手につき、3分研磨したとしても1個当たり24分で1200分以上、すなわち20時間以上研磨する必要があるのです。
バレル研磨等も考えたことがあるのですが、研磨したくない部分まで研磨されるため、マスキングしたりする作業時間も馬鹿にならないので、ひたすら手研磨を行っている状態です。
この単調作業の間は音楽でも聴きながら作業することができるので、脳のリフレッシュにはもってこいなのですが、流石に研磨3日目辺りになってくると肩こりと共に指先の感覚も麻痺してきます。
リングとチェックも研磨作業が必要になりますので、研磨作業だけでも5日程度かかる仕事量になるんです。
機械加工時間はCapで1個当たり25分程度、Ringも20分程度、Checkも20分程度かかりますので1セット当たり65分
50個で54時間以上に時間が掛かります。
その他、洗浄などに時間を盛り込むと実質14日の仕事量になります。
でもこの時間は歩留まり100%での作業時間で、実際にはローレット加工に失敗したり、所定の寸法に収まらなかったりでNG品扱いになるものが結構あるのも事実なんです。
仮に歩留まり90%だとしても15.5日、実に半月以上の仕事量になってしまいます。
中々商売としてはおいしくない仕事なんですが、この仕事だけは、やりきらないけない仕事なのです。
小さなパーツですが、バンブーロッドを引き締める重要なパーツです。
丁寧にやった仕事かどうかは、その道のプロの目で見れば簡単に判ります。
今回も丁寧に作りました。
厳しい検品を無事に通過することを祈るのみです。
この加工を通じて連続加工できないパーツを効率よく加工するためにどうすればいいかをずっと考えておりました。
特にCapのように止め穴加工を行なうパーツは連続加工できないのでこれをどうすれば連続加工できるだろうかと考え続けました。
答えは出たのですが、これを実現できるのか!
実現できたとして、加工工数、加工時間がどれだけ短縮できるのか等々テストが必要です。
少し時間が取れそうなので、この思い付きをテストして今までやったことのない加工を手掛けてみたいと考えています。
明日から冷え込みが一層増すようなので、皆さんも風邪やコロナに気を付けてお過ごしください。