Retro Rod&Reelを本年もよろしくお願いいたします。
昨年末よりフィラーの加工を開始しておりましたが、未だ加工途中段階でコーティングをしては水研ぎをする日々で、一向に完成する兆しが見えない状況です。
各種SNSを覗いていると数多くの同業者の方々の素晴らしい作品を目にすることができ、身の引き締まる思いがするわけなんですが、中には財力にモノを言わせて羨ましいような設備を導入して効率よい作業をしている人や、高価な設備導入しているだけで、技術が伴っていない人、設備は乏しいが素晴らしいアイデアで感心させられる人など、様々な人がSNSに色んなものを投稿され、それを眺めて新たなアイデアの参考にさせていただくこともしばしばあります。
以前もアイデアに関する投稿をした記憶がありますが、アイデアは考えてすぐに思いつくものではありません。
考えて、考えて、いつも頭の片隅にその思いをインプットし続けた状態にしておいて、ふっと緊張の糸が途切れた時などに今まで頭の中でばらばらだった糸がつながって課題の解決につながることが多いように思います。
ある日突然、今まで考えもしなかったアイデアが降ってくることなどありません。
ずっと考え続けることで、過去の経験値に糸が結びつくだけだと思います。
なので、色んな経験値を積むことが、新たなアイデアを創出する近道だと考えています。
アイデアが良く生まれる場所としては、トイレや浴室、散歩などが挙げられており、私は断然お風呂で思いつく場合が多いです。
Retro Rod&Reelは竿とリールと、フライに関連する様々なGoodsを製品化する個人事業主なのですが、周りの方々からよく、選択と集中が必要なのでは?と言われます。
自分の得意とするところに集中して、そこにパワーを全部注ぎ込むほうが良いと言うのです。
バンブーロッドビルダーは全てやりたがると良く言われます。ブランク、リールシートフィラー、リールシート金具、フェルール、竿袋.......。
竿づくりにはすべて必要な仕事ですが、その仕事を1人で抱え込むことが果たして良い事なのか?と言うのです。
自分のロッドはテーパーが命なのであれば、ブランクを沢山作り続けるべきであり、その他の付随する仕事はその道のプロにお願いするいわゆる分業が良いというのです。
そうすることによって余分な作業する時間をブランクを作る時間に充当することができ、より良いブランクが完成するのだと...。
そう言われるとそんな気もするんですが、
一つに集中すると、周りが見えなくなる「木を見て、森を見ず」状態になりそうで、できるだけ色んな事をして経験値を積んでいきたいと思っているのです。
知名度があり、一極集中でも十分な収入を得ることができるのであれば話は変わってきそうですが...。
これは、とあるSNSで話題になっていた真空装置の簡易版です。
そこではチャンバー内をロータリーポンプで真空引きして、フィラーのエアーを抜いてウレタンを充填させるというものでした。
チャンバーとロータリーポンプを購入すると数万円の出費を伴います。
できるだけ出費を抑えたいがために、真空装置を諦めている人がいることも事実です。
これは私が会社員時代に実際に作製していた簡易真空装置です。
金属パイプをジャムの瓶にエアもれしないように接着できれば後は市販品で千円もあれば十分にそろうもので組み立てることができます。
1方向弁もアマゾンなどで逆流防止弁などで検索すると出てくると思います。
使い方は説明するまでもありませんが、一応説明します。
図のように接続出来たら、ジャムの瓶にウレタン樹脂を入れて蓋を閉めます。
ジャムの瓶とつながっているバルブを閉めて、注射器を押し込んで、引っ張ってを繰り返します。
注射器を押し込むと中の空気は1方向弁で外気に放出されます。
注射器を引っ張るとジャムの瓶内のエアーを注射器の中へと吸い上げます。
1方向弁があるので、注射器内へと吸い上げたエアーが逆流することはありません。
これを繰り返すと簡単にジャムの瓶内を真空状態にすることができるんです。
フィラーが収まるような容器にすれば簡単にインプリができるのです。
インプリは簡単にできるんですが、フィラーを作製するには、インプリした後が重要です。
樹脂を乾燥させ、水研ぎしてはコーティングして、フィラー表面の僅かな窪みに樹脂をコーティングしては研磨を繰り返し、凹凸の無い表面を作り上げていくのです。
何事もそうですが、簡単に加工して最高のものを作り上げることは難しく、手間暇をかけてあげないと綺麗なものは作れないと思っています。
時間を掛ければコストがかさむ、当たり前のことです。
でも、時間を掛けたからと言って、値段を上げたら、誰も振り向きもしません。
だとしたら、時間を掛けずに安かろう、悪かろうの商品と作るか?
コストは合わないが自分の満足するものを作るか?
安かろう、悪かろうのモノづくりは、海外の人件費の安さにはかないません。
なので、誰が見ても良いと思うモノづくりしか残されていないのです。
そして、そのモノづくりはその道に精通しているものだけしか思いつかないような工夫やアイデアが詰まったものであるならば、きっと気に入って手に取っていただけるものと信じて加工しています。
これからのモノづくりがどうあるべきか! その答えは、丁寧に良いものを作り続けることにあると考えています。
FlyFishingを愛する者がFlyFishingnために考えて、手間暇を惜しまずに丁寧に作り上げる。
それしか残されていないように思います。
良いものは一目見ただけで良さがわかるもの!
2021年もそんなモノづくりを続けて、色んな経験値を積み重ねていきたいと考えたお正月でした。