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Glassロッドのラッピング

コロナによる緊急事態宣言が東京近郊や大阪近郊、愛知、岐阜、福岡等々に発令され、また重苦しい雰囲気になってきました。

私の住む奈良県もニュースを見る限り感染者は増加しており、普段出歩くことの少ない私は一層引きこもり状態になりそうです。

そんな中、つるやさん主催のハンドクラフト展も10月に延期となり、全国のフライマンと交流する機会はブログやSNSに限られてしまっております。

 

そんな時だからこそ、ブログは出来るだけ更新して少しでも情報発信できればと考えております。

 

Glass Rodの注文が入っておりまして、解禁には使用したいとのことなので製作に取り掛かっています。

昨年末にフィラーの加工を行なっておりましたので、フィラーはその中からピックアップするとして、その他の必要パーツの加工を行ないました。

 

私がラッピングしているグラスロッドは#3 6pc で、どちらかと言えばスローアクションに分類されるロッドです。

源流域では10mもラインを出すことはほとんどありません。岩の隙間に隠れているようなイワナであればリーダーキャストがほとんどです。

そんな時にロッド自体の重量でロッドが曲がって、その復元力でリーダーをターンオーバーさせられるロッドが重宝します。

また、復元スピードがゆっくりの方がゆったりとしたリズムで釣りが出来るので、優雅な感じがしています。

 

 

バンブーロッドもグラスロッドもゆったりと振りたい。自分のバンブーロッドと同じようなリズムで振れるグラスロッドを探し続けてたどり着いたブランクです。

 

今回は6pcのグラスロッドのフェルール部の口割れ防止金具付きで!とのご要望でしたので、まず、金具の加工を行ないました。

 

金具の加工はドリル加工後に既定の直径になるように中ぐりバイトで調整し、外形の段差加工を行ない、突っ切り加工後に

研磨して、黒染めすれば終了です。

ニッケルシルバーで加工しておりますので、黒染めも綺麗にできます。

 

中ぐりバイトの小さいモノを昨年購入したので、こういう小さな穴加工時には非常に重宝します。

 

フックキーパーも自作しています。

ニッケルシルバーの板材を0.3~0.4mmに加工して、1.1mm幅で長さ50mm程度の薄い板状に加工してリングが収まる部分をプレスで作製します。

 

写真の状態からフット部分を成形して、研磨して、黒染めすれば完成です。

簡単な工程で加工できるんですが、薄い板状にするまでの工程がめんどくさいです。

ネットで薄板を購入すれば簡単に加工できそうですね

ラッピングはTip側から巻き始めます。

理由は簡単です。久しぶりにラッピングする場合などは、最初はなれるまでに少し時間が掛かるので、ラッピングしやすいTip側で肩慣らしをしながら徐々に太い側に移行すると言った感じです。

 

今回のグラスは6pcなので、フェルール部にもラッピングを行い、ガイド部、フェルール部共にトリムを施しています。

トリムは31か所にもなるので、マルチピースは結構ラッピングに時間が掛かります。

 

私はフックキーパー部分のラッピングに一番気を使います。巻き数が多く、フックキーパーのリングが収まるカーブの下部分にもラッピングするため、ラップ時は少しフックキーパーの片側を持ち上げた状態でラッピングする必要があり、失敗すると結構大きなダメージを被ってしまうからです。

今回はミスなしでラッピング出来ました。

 

ラッピングのスレッドは色々使いますが、スーパースレッドのブラウン系のものが個人的には一番好きな色です。

ゴッサマーなどは途中で糸が無くなりそうなのと、糸の撚りが少ないので案外巻きにくいと感じています。

 

グラスロッドのグリップ周りのラッピングは最近は写真のようなシンプルな巻き方が多いです。

シンプルに見えますが、3回巻きのトリムを10回繰り返しているので、それなりの時間は掛かってしまいます。

 

ラッピング作業は音が発生しない時間が流れます。

この音が発生しない時間と言うのは、私の仕事の中では特殊で貴重な時間でもあるのです。

ラッピング時とバンブーの曲がり直し時は音が発生しないので、音楽を聴きながらの作業が可能です。

 

ロッド作製時は比較的大きな音が発生することはないんですが、リール加工時は機械を回しているので、音楽は耳まで届きません。

イヤホンをすればいいのでしょうが、加工時には音を確認しながら作業することが多く、音楽等を聴けるほどの心の余裕がないことも事実です。

 

ラッピング時は自作のラッピングベンチを使用しています。

特に変わったところと言えば、スレッドのテンションを錘で調整しているところぐらいです。

 

フィルムケースにねじフックを取り付けて、ケースの中にリール加工時の端材を入れて錘にしています。

重量は100g程度です。

この錘をスレッドに常にかけた状態でラッピングしています。

テンションコントロールできれば他の方法でもいいのですが、この方式は重量を計測しておけば、毎回同じテンションでラッピングできるので重宝しています。

 

重量管理と言う点では、バンブーロッドのバインディング時は500mmlのペットボトル2本に水を入れてテンションをコントロールしています。

Tip側は600gでButt側は800gと言うように簡単に調整可能です。

 

少し話はそれてしまいましたが、ダイヤル式のテンション調整よりもシンプルで変動が少ないような気がしています。

ダイヤル式でテンションをコントロールする場合はスレッドを挟み込んでテンションを掛けているので、スレッドの太さが変わればテンションが変わるので、スレッドの撚りの状態によっても変わりそうなのと、スレッドの撚りの状態自体もテンションコントローラーを通過することで何かしらの影響を受けそうな気がしています。

そんな気がするだけで、ほとんど影響ないのかもしれませんが、よりシンプルな構成の方がトラブルが少ないのは確実です。

 

さて、もうじきエポキシの乾燥も終了です。