加工依頼をいただきました。
リールはHalcyon Reelで、リールフットが変形してしまっているとのことでした。
このリールフットの形状は上部がフラットになっています。
私が加工するリールフットは、まず、円筒状に加工した後にリンゴ割りしてリールフットに加工するプロセスを採用しています。
上部がフラットになっている形状の場合は円筒加工した後に上部をフラットに加工して、リンゴ割します。
と言うことで、材料購入からになるんですが、フラット部分に加工できるように最初はφ30mmの棒材から加工していきます。
φ30mmmのジュラルミンを65mmの長さに切断するんですが、金切り鋸で15分ぐらいかかります。(汗だくになります)
その後に端面加工して、φ28mmまで外径加工していきます。
外径加工が終了したら、内径加工です。
まず、センタードリルで加工後、φ6mm、φ8mm、φ10mmの順でドリル穴加工します。
ドリル穴加工後中ぐりバイトでφ18mmまで中ぐり加工を行ないます。
リールフットの裏面の形状はこのφ18mmの中ぐり加工面となるので、R9mmになります。
中ぐり加工後は外径のテーパー加工を行なっていきます。
旋盤にチャックして左仕上げバイトでテーパー加工していきます。
両端側のテーパー加工を行ないます。
加工後、旋盤にチャックした状態で外形部分を研磨しておきます。
この加工が終わったら、フライス盤に取り付けてリールフットの上部のフラット部分の加工を行ないます。
続いて取付穴加工も行います。
最後にフライス盤でリールフット形状に輪郭加工を行ないます。
この方式であれば、3つのリールフットを加工することができます。
加工が終了したら、ツールマークを消すために輪郭加工した部分をサンディングしていきます。
最後に、取付穴の裏側部分のネジ頭部分を座グリ加工したら終了です。
フラット部分を持つリールフットは初めての加工でしたが、思う通りに加工が出来ました。
最後にリールに取り付けて完了です。
このようなフラット部分を持つリールフットは最近のハーディーリールでも採用されています。
ハーディーリールはアリ溝を採用していますが、Retro Rod&Reelの工房ではアリ溝の加工が出来ません。
アリ溝の無い形状であればハーディーリールのフット加工もできるのではないかと考えております。
リールフットの上面がフラット形状のリールフットではなく、R形状になったハーディーリーチもあるようです。
(特にアンティークなハーディーリールに多いようです)
このR形状のリールフットに関しては、今まで加工にトライしたことがありませんが、ご要望があればチャレンジしてみたい加工です。
新たな加工はいつも勉強になります。
今回も色々悩んでトライしてみましたが、結果的には問題なく加工できました。