早くも2021年も後半戦に突入しているわけですが、今年はコロナの影響でハンドクラフト展が10月に延期されました。
でも、あと3か月後に開催されるわけで、そろそろ本格的に準備を開始せねばなりません。
Retro Rod&Reelと名乗っている以上、BAMBOORODとREELはもちろん、グラスロッド、Goods関連の展示も予定しておりますので、結構準備に時間が掛かるのです。
REELに関しては8月から本格的に加工を行なう予定にしており、7月は主としてBAMBOORODとGoodsの加工を行なうことにしております。
6月に納品予定だったバンブーロッドの作製時に、余分に竹割り、曲がり直しを行っていたのです。
そのブランクは、トンキン、真竹、女竹の3種類で、それぞれ1150mmほどの長さです。
この3種の竹を使用して、同一テーパーのロッドを作製し、アクションがどのように変化するのを確認できるロッドを作ろうと以前から考えておりました。
ロッドの仕様としては、7’00” #3 2pcsのロッドを加工しようと考えております。
トンキンケーンと女竹に関しては以前から使用している竹材であり、素性は判っているのですが、真竹に関しては今まで一度も使用したことが無く、初めての経験です。
真竹は以前に友人から頂いたもので、ガレージに保管していたものを使用いたしました。
女竹は九州の実家で私が採集したものです。
真竹はトンキンケーンと同一テーパーで作製するとトンキンの#3であれば真竹で作製すれば#2になると以前から言われていたことは知っておりましたが、それが本当なのかを確かめたいと思ったのです。
同一テーパーのロッドをトンキン、真竹、女竹の3種類で作製し、アクションの比較ができるというのはバンブーロッド好きな人ならば興味深いと思うので、これをハンドクラフト展で体験していただければ面白いだろうと考えました。
曲がり直しをしておいた竹辺ですが、確認すると少し曲がりが出ていたので、曲がり直しを追加しました。
大きくは曲がっていないのですが、ほんの少しの曲がり直しであっても36本を曲がり直しすると結構時間が掛かります。
曲がり直しも竹の種類によって特性が異なります。
トンキンケーン パワーファイバーが太く、硬いのでよく火を入れないと曲がりが取れにくいのですが、曲がり直し後は癖が付きにくいようにい思います。
真竹 節が高いので、節をつぶす作業が必要になりますが、火を通して万力で締め込むと簡単に節がつぶれるので、素直な竹だと思います。
頂いた竹は油抜きなどはしてないようで、火を通すと油が浮き出るようです。
女竹 パワーファイバーが細かいのでしなやかなので、曲がり直しできたと思っていても、癖が出やすいように思います。
しっかり火を通して曲がり直しをする必要があるようです。
最近ではYoutubeやSNSなどでバンブーロッドを加工しているビデオをアップしている人が多いですが、プレーニングフォームから竹辺が浮いているのを手で押さえつけながらカンナ掛けしている様子をよく目にします。
荒削り作業であってもフォームから竹辺が極力浮き上がらない状態になるまで曲がり直しをやって欲しいと思います。
フォームから竹辺が浮き上がるということは、曲がっているということです。
曲がり直しが出来ていないということです。
この作業はめんどくさい作業ですが、この作業こそが一番重要な作業だと考えています。
荒削り作業はButtの最終テーパー+1mmでフォームセッティングして、荒削りを行います。
Buttはもちろん、Tipもこのフォームセッティングで荒削りを行っています。
写真は荒削り終了し、バインディングまで終わった状態です。
左からトンキン、真竹、女竹です。
荒削りをTipとButtで同一テーパーにするのは、火入れ状態を同一にするためです。
テーパーが異なると火入れ状態が異なるので、同一テーパーにしてTipとButtの火入れ状態を同じにしているのです。
火入れに関しては真竹の火入れレシピの蓄積がないので、トンキンケーンと同一温度、同一時間で行いました。
女竹に関してはトンキンケーンと同一温度で、約15%火入れ時間を長くしています。
現在火入れまで終了した状態です。
さてさて、この荒削り作業は結構埃が舞います。
埃が舞っても大丈夫な作業を並行して行うことができれば効率的なので、Goodsの加工を行なうことにしました。
フロータントケースをCNCフライス加工で加工しながら荒削り作業を行います。
現在、フロータントケースは欠品中で結構色んなところから問い合わせがあるので、加工を開始いたしました。
フロータントケースは7月中旬からホームページ又はフェイスブックのSHOPで販売再開予定です。
話は少しそれますが、フロータントと言えば、最近他社さんよりローラータイプのフロータントが発売されており、各SNSで紹介されているようです。
私は使用したことが無いので、あくまでも想像なのですが、使用中のフライにフロータントを施す場合、ロッドをわきに抱える、もしくは太ももで挟んだ状態でフライを手に取り口でブローし、フライカチーフで水分を取り、フロータントを施します。
この時、フロータントの蓋を開ける作業をする際に、片手で蓋を開けられるのか、両手を使わなければ蓋を開けられないのかは大きく作業性が異なるのです。
容器はローラー付きの瓶の中にフロータントが入っている構造のようです。
ローラーによって必要量を指先に転写する構成のようです。
フロータントを塗りたいときは、片手でフライをつまんだ状態なので、出来れば片手で容器の蓋を開けたいのです。
私が加工しているフロータントケースは、開発時のコンセプトとして、
①片手で蓋の開閉ができる
フライを片手で持った状態での作業なので、片手で開閉できる構造が望ましい
⇒ヒンジ+マグネットで片手で開閉可能な構造を実現
②漏れない
フロータントが漏れ出てベスト内のポケットなどを汚すことが無いようにする
Oリングを容器内に設けて、マグネットチャック時にこのOリングを僅かに潰すことでフローータントの漏れ出しを防ぎます
③軽い
源流まで歩くことが多いので少しでも軽く作りたい
ヒンジを含め、ウッド材で加工することで軽量化を実現
この3つを重要視して開発したことを思い出しました。
このコンセプトに加えて、意匠性を出すためにヒンジ構造を市販品のヒンジを使用せずに、ヒンジ部分も自分で加工して、ヒンジ部分に特徴を持たせたフロータントケースにしたのです。
1人で考えるのは大変ですが、何を重要視するのか、この開発コンセプトは非常に大事ですね!