Blisterリールに関する問い合わせがありました。
このリールデザインがお気に入りとのことで、体験ありがたい声を聞くことができました。
続けて、このリールのフレームをステンレスで作ることはできますか?との問い合わせでした。
このホームページのメインの部分には、バンブーロッドはオーダーするのに、リールは既製品でいいんですか?
と言っている以上、出来るだけの要望を叶えるのが私の仕事だと思っています。
しかしながら、気になる点もあり、ジュラルミンフレームのBlister type"R" wideをステンレスで加工すると重量的に170gぐらいになりますよ? 重たくなりますよ!
別途加工プログラムを作成したりと、手間がかかるため、+3万円程度は価格アップしますよ!と言いましたが、その程度であれば許容範囲です。と返され、引き受けることにいたしました。
バンブーロッドの作製を7月中に終わらせて、8月からはリール作製期間に突入と考えておりましたが、尿管結石等の体調不良に伴い約10日ほど遅延し、お盆付近からリールの加工を開始いたしました。
とはいえ、上記Blister Stainlessモデルを加工するにあたり、加工プログラムの修正があります。
フレームの加工手順を簡単に説明しますと、
1、材料の端面出し、外形出し
2,裏面側の加工
3,表面の加工
4,研磨
5,パフォレーション加工
6,輪郭加工
7,研磨
以上の7工程から構成されています。
このうちの2,3,6の工程の加工条件を変更した加工プログラムを作成いたしました。
ステンレスは、熱伝導が悪いため、切削加工中の加工熱が逃げることができず、材料内や工具に蓄積され切削抵抗が大きくなったり、工具の破損につながります。
そのため、加工スピードや、切り込み量等を抑えた加工が必要となり、従来のジュラルミンの加工と比較して、3~4倍の加工時間が必要になります。
幸いなことにBuddyリールではStainlessモデルがあるので、加工条件としては確立されているので、加工プログラムの修正は半日あれば修正できます。
Blisterリールは同時にBrassモデルも作製しようと考え、写真真ん中4つの加工を行ないました。
他の材料はBuddyように端面加工まで終了したものです。
Stainressモデルは研磨後にパフォレーション加工し、輪郭加工を行ないます。
輪郭加工前は円盤状の形状をしているので、旋盤にチャックした状態で研磨可能なので、この状態で研磨を行います。
仕上げ状態として鏡面に近い状態が希望とのことなので、輪郭加工前に研磨に時間を掛けます。
輪郭加工を行ない、レイズドピラー形状になった後からでは旋盤にチャックして研磨ができなくなり、レイズドピラーの形状に倣って、手研磨で鏡面仕上げを行います。
バーミンガムタイプのリールの場合は加工工程として上記の1~5まででOKですので、加工プロセスが短い分だけ安価になるのです。
手間はかかりますが、私はレイズドピラータイプのリールが大好きなので、この形状に拘っています。
現在、レイズドピラータイプで日本の渓流サイズの低番手用リールを作製しているメーカーがどれだけあるでしょうか?
時間を掛け、一つ一つ丁寧に作り上げたMade in Japanリール
沢山のオーダーには答えることはできませんが、お気に入りのリールを提供できるよう地道に加工を行なっております。