私のグラスロッドは、色んなメーカーのロッドの中から、私の作っているバンブーロッドのアクションに近いブランクを探し出し、そのメーカーよりブランクを購入して組み立てていました。
フェルールスピゴットタイプで、最初のうちはその購入したブランクをそのまま組み立てていました。
何本か組み立てているうちに、組み立てている側の要望と言うものが出てくるのは当然の事なのですが、その要望をメーカー側にお願いすると当然ながら手間がかかり、コルトアップになることは目に見えております。
なので、出来る限りブランク納入後にこちらサイドでブランクに少し手を加えてから組み立てておりました。
何本か組み立てていると更に細かなところまで気になってしまったのですが、この気になってる点はピスゴットフェルールが接着されているとこちらサイドで手が出せない部分なので、メーカー側にお願いして、ピスゴットのフェルールを接着しない状態での納入をお願いして、納入後に気になる部分に手を加えた後にフェルール部分を接着するような工程を行っておりました。
こうすることによってメーカーサイドとしてはより簡素化した状態で納入できるし、こちら側としても気になる部分に手を加えることができるのでお互いにWin-Winの状態となっていました。
色んな気になる点に手を加えられることは願ったりなのですが、当然ながら手間がかかるのは言うまでもありません。
しかし、副産物もありました。
スピゴットフェルールを接着しない状態で納入してもらうので、スピゴットフェルールの長さを自分の希望長さに調整できるのです。
スピゴットフェルール長さには、オスフェルールがブランク内部で接着される部分の長さ(不可視フェルール長さ)と、メスフェルール部に収まる長さ(可視フェルール長さ)の両方を指します。
私の作製するグラスロッドは5~6pcsが主体なので、フェルール部分が多い分だけこのフェルール長さの影響が大きくなります。
すり合わせに関しては、ニッケルシルバーのフェルールほどシビアである必要がないので、難しいと感じたことはありませんでした。
こうして、自分で気になる部分を修正しながらブランクを調整し、組み立てておりました。
フェルール長さも自分で決めることができます。
すり合わせも自分でやるので、各ピース間での隙間長さを揃えるようにすり合わせを行うことができ、満足度の高いグラスロッドを作り上げることができるようになりました。
しかし、
人間の欲望は果てしなく、一つ満足すると、また一つ気になる部分が見えてくるのです。
しかしながら、今度の欲望はメーカー側にお願いしても解決できそうにありいません。
私がブランクを購入していたメーカーは、ブランク自体を加工しているメーカーではなく、ブランク加工メーカーに加工を依頼したオリジナルブランクを販売しているメーカーだったのです。
ですから、ブランクに関する部分と言うのはブランク加工メーカーにお願いするしかありません。
幸いにして、今までいろいろと気になる部分に手を加えるためにスピゴット部分の調整等も自分でやっていたので、思い切ってブランクメーカーとコンタクトを取り、自分の思うブランクを加工してもらうために長いやり取りを続けてきておりました。
最近になってやっと第1弾のブランクが完成し、入手いたしました。
テストロッドは、2ピースのブランクで、このブランクを自分で必要長さにカットして、スピゴットフェルール用のブランクも別途入手して、これも自分で必要長さにカットして、ブランクを作るという作業を行いました。
これらの作業はブランクを自分でカットする作業以外は今までやってきた作業と大きく変わった部分がないので、非常にスムーズに作業を行うことができました。
テストブランクは未塗装の状態で、現在はピスゴットの接着も完了し、コルクを接着した状態で止まっております。
と言うのも、10月のイベントに向け、リールの方の製作を開始しなければならない時期になっていたからなのです。
ですが、先日つるや釣具店さんの方から10月のイベントは中止、2022年2月18~20の開催になったとの連絡を受けたため、リールの加工と並行してブランクの組立を行い、早めにアクションの確認を行い、修正部分がある場合はメーカー側と再度マンドレルの設計変更等をお願いしなければなりませんので、早めに進めていきたいと考えております。
メーカー側にしか対応できない気になる点と言うのは、ブランク重量だったのです。
いくらマルチピースのブランクでも、バンブーロッドに比べればはるかに軽いのです。
最近のグラスロッドは特に軽くなってきており、軽快なのですが、軽い事による弊害もあると思っているのです。
それは、自重によるブランクのしなりと復元力です。
バンブーロッドは自重があるために少し振ってもロッドが結構しなり、復元します。
この復元力をうまく活用すれば、ロッドからラインがほとんど出ていないリーダーキャストでも、ロッド自体の復元力を利用してフライを投射することができます。
グラスロッドでも同様の復元力を求めたいのです。
そのためにはある程度の重量が必要になってくると考えたのです。
この重量はテーパーだけでは再現できないモノなので、グラスロッドとバンブーロッドを持ち換えても違和感ない状態を作り出すことができます。
ブランクの重量を増やす!
時代錯誤なのかもしれませんが、往年のグラスロッドがまだまだ重かった時代の雰囲気も併せ持ったロッドを作って見たかったのです。
もう少し時間がかかると思いますが、オリジナルブランドのグラスロッドの開発も行っていますと言うお話でした。