最初に言っておきます。脱調です。脱腸ではありませんので.........。
花梨のFaceplate表面に少し窪みを付ける加工を旋盤でNC加工していた時の事です。
「ガガガッ」と言う音と共にバイトがFaceplateに食い込み、非常停止で止めるということがありました。
写真左がバイトが食い込んだFaceplateです。
参考までに写真右が正常品で、一度コーティングを行った状態のものです。
脱調したということは気が付いたのですが、何故脱調したのかが判りません。
試しにワークをセットしない状態でプログラム加工を行ないましたがやはり脱調するようです。
困りました。
今回は木工加工でしたが、金属加工でZ軸のマイナス方向突っ込むと結構やばい事が起きますので
原因をしっかりと調査して、対策しないと...。
ちなみに旋盤では往復台の移動方向がZ軸で、刃物台の移動方向がX軸になり、Z軸が主軸方向へ近づく方向が-方向になります。X軸は自分から遠ざかる方向が-方向です。
さて、脱調に関しての調査ですが、、まずステッピングモーターと親ネジのベルトの状態を確認しました。
特に問題はないように思えます。
この日は時間切れで終了しました。
翌日、ワークを取り付けないでプログラム加工した際の動作をビデオに収めていたので、見返してみると、ツールがワークに接触しているだろうと思われる位置から+方向に戻る際に脱調音がしていました。
なので、実際にはZ軸は+方向に動いていないのにプログラム上では動作していると勘違いするので、次の加工時に脱調分だけ-Z方向に進み、ツールがワークに食い込んでるんだろうと思われます。
脱調はZ軸が+方向に動く際にステッピングモーターのパワー以上の負荷がかかっていれば脱調すると思われますが、ワークを取り付けていない無負荷状態でも脱調しているので不思議です。
試しにステッピングモーターと親ネジのベルトを外して、親ネジを手で回してみると、Z軸の-方向にはスムーズに動きましたが、+方向には動きが渋いのです。
この旋盤は基本金属加工専用なのですが、Faceplateの加工やリールシートフィラーの加工等も行っており木工くずがベットや親ネジ部、アリ溝部分等に付着して動きが悪くなったのではないかと推測します。
CRCを吹き付けてウエスで拭いて、グリースアップし、もう一度親ネジを手で回すと、スムーズに動くようになりました。
NC旋盤には汎用旋盤のようにハンドルが付いていません。
汎用旋盤であれば、往復台の動きが悪ければ、ハンドルを通して動きの悪さは体に伝わってくるのですが、
NC旋盤はハンドルの代わりにJOGダイヤルが付いています。
JOGダイヤルを回すと指定のパルス数だけステッピングモーターが回転し、往復台を移動させるため、動きの悪さは体に伝わってこないのです。
こまめに清掃、メンテナンスしていれば問題ない事なのでしょうが、初めての経験だったのでかなり焦りました。
ステッピングモーターの過負荷を検知するには、モーターへの電流値をモニターすればいいのかもしれませんが、そのような機材に投資するほど潤沢に資金があるわけでもないので、こまめに清掃、グリースアップするように心掛けるしかなさそうです。