フライリールのハンドルノブの修理依頼がありました。
DAIWA Silver Creek Ⅰと言うもので、前オーナーが作製したノブは外された状態で送られてきました。
このリールのノーマル状態の写真をネットで探して送って頂き、参考にしながら加工を進めていく予定です。
仕様打ち合わせをメールでやりとりしていると、Woodノブ、出来れば白花梨で!との要望がありましたが、
白花梨は樹皮に近くの部分で、強度的に不安がるので、紅白花梨でどうでしょう?との提案にOK頂きましたので、手持ち花梨の中から紅白花梨を選別し、加工することにしました。
写真のようにまず、メタルパーツでノブの原型になる部分を加工し、この上に円筒状に加工した紅白花梨を接着して仕上げます。
このノブの原型になるメタルパーツをメタルコアと呼んでおり、この状態でもノブとして機能します。
メタルコアとメタルコアを固定しているネジは同一材料で作製しているので、熱膨張差に起因する伸縮の影響を考慮しなくても良いのです。
また、アクシデントによりWoodノブが破損しても、このメタルコアを回すことで、釣りを中止すること無く続行できるのです。
以上に理由により、私のリールや、私が修理するノブはこのメタルコアを採用したノブになっていることがほとんどです。
パーツ点数が増える分少し値段は上がりますが、それ以上に安心感があるため、トラブル防止のために良い選択だと考えております。
紅白花梨の中でも出来るだけ白部分の多い材料をチョイスして加工を開始しましたが、ノブの形状を整える段階で破損。
やはり、樹皮に近い白花梨部分は強度的に弱いのです。
加工さえできれば、メタルコアで補強された部分に挿入し接着するので、加工さえできれば問題なのですが、なかなか加工が厳しいようです。
リールのフェイスプレートに紅白花梨を使用することもあるんですが、この場合も紅白花梨とエボナイトを接着し、補強した状態で加工を行なっているのです。
話はそれましたが、気を取り直して、少し赤み部分のある紅白花梨で加工を再開いたしました。
ノブ形状の加工が完了したら、サンドペーパーで表面を整え、コーティングを行ないます。
最初は5~6回ウレタン樹脂をコーティングして、凹凸部分までウレタンが埋まるようにします。
その後研磨し表面を整え、凹凸が残っているようであれば更にコーティングを行ないます、
コーティングと研磨を繰り返し、花梨表面の細かな凹凸がない状態まで研磨出来たら、最終コーティングを行ないます。
今回は、実質10回以上コーティングを行っております。
コーティング回数は多いのですが、研磨により、ボテボテのコーティングにならないように注意しております。
今回は、ノブの台座(通称:座布団)、メタルコア、ネジ、ノブ、裏面ネジの構成になっております。
リール自体が黒いので、各パーツを黒染めして、取り付けております。
具体的な加工費用は以下の通り
・座布団 660円
・ネジ 1078円
・メタルコア 1320円
・ノブ 1078円
・裏面ネジ サービス
合計4136円(税込、送料サービス期間中)
座布団があったりして少し値段は高くなりましたが、いい雰囲気のノブ加工が出来たと思っております。