我が家の小さくて狭い工房では色んな作業を並行してできるほどの作業スペースはなく、一つの作業を片付けて、次の作業を行うと言った感じなのです。
バンブーロッドの曲がり直し、荒削り作業まで終わった状態で、火入れ待ち状態だったのですが、以前からのMagリリーサーのWoodコーティングが続いており、このコーティングを終えなければ、埃だらけになるスクレッピング作業などを行なえないのです。
Woodコーティングは1日2回のコーティングを約1週間行い、ある程度コーティング厚さを確保した状態で、研磨作業を行い、艶出しを行ないます。
ですから、荒削りから1週間、バンブーロッドの加工はお休み状態だったのです。
Woodは色んな端材をかき集めて加工を行ないました。
加工途中に割れたりすることもあり、きっちりしたペアにならないパーツも出来てしまうのですが、とりあえずありったけのwoodをコーティングいたしました。
バンブーロッドの方は、バインディングを行い、火入れをします。
私が使用しているオーブンはアルミ製のロッドチューブにリボンヒーターを巻き付けて、断熱材を巻いて、煙突の中に入れ込んだオリジナルのオーブンを使用しています。
もう23年間使用していますので、慣れた作業と言った感じです。
ヒーターが直接ブランクを加熱するのではなく、ロッドチューブを介しての輻射熱であらゆる方向から加熱させるので火入れには適した構造だと考えています。
このオーブンも結構考えて作製したのを覚ええています。
火入れ後のスクレッピングですが、以前は一時期スクレッピングプレーン(いわゆる台直しカンナ)を使用していた時期もありましたが、現在は平やすりだけでスクレッピング作業を行っています。
節の部分の処理を平やすりで行うついでにスクレッピングも行うと言った感じです。
スクレッピングの途中で節部分の曲がり等を修正することも忘れずに行っています。
仕上げ削りに関しては、特にテクニックを必要とすることはなく、フォームに沿ってプレーンを正しく動かせば正しい寸法で正三角形のブランクが作製できます。
特に注意していることは2つで
1つは、フォームに対してブランクが浮いてたりする場合は曲がり直しが正しく行われていない証拠なのでフォームにブランクを置いた状態でフォームから浮き上がらない程度まで、しっかりと曲がり直しを行う事。
2つ目はプレーンの刃をよく切れる状態にしておくことです。めんどくさがらずに切れが悪くなったら刃を研ぐことです。
現在仕上げ削りの途中までの段階です。
明日までには仕上げ削りを終え、明後日には接着できるように勧めたいと考えています。
接着まで終われば、フェルール加工したり、グリップ接着したりとまた作業内容がガラリと変わりますが、今回は今までに使用したことのないサイズのフェルールを使用するので、フェルール設計、加工が追加されます。
コルクグリップに関してですが、ブランクにコルクを1個ずつ接着してグリップを作製する方式と、別途グリップを加工しておいて、ブランクに接着する方式とがありますが、断然ブランクに1個ずつ接着する方式の方が信頼性が高く、将来的にも安定していると確信します。
ブウランクに対してコルクをかなり弾性変形させて接着していますので、仮に接着剤にトラブルが生じても案外しっかりとブランクに対してコルクが密着しているので大きなトラブルには至りませんが、別途グリップ加工してブランクに接着する方式では、個別接着方式ほどコルクを弾性変形させて接着させることができないので、剥離する可能性は高く、信頼性が低いと思っています。
色んなプロセスが存在するのであれば、信頼性が高く、よりローテクで作製できる方式が信頼性が高いと信じています。
設備に頼らなくては出来ないプロセスは、設備がない状況では何もできなくなります。
一番ローテクなプロセスを習得しておけば、最低限の設備さえあれば何とか加工することができるのです。
ハイテクと聞くと精度が高く、ローテクと聞くと精度が悪いような印象を受けますが、バンブーロッドの加工に関しては、近道などせず、高価な道具、設備に頼らず、自分が習得した技術を総動員したローテクが一番優れていると考えています。