前回仕上げ削りまでお話しました。
今回は仕上げ削り以降のプロセスについてお話いたします。
仕上げ削りが終了したブランクスは六角形に束ねて、マスキングテープを貼り付けます。
その後、1辺にデザインナイフで切り込みを入れて、ヒラキの状態にします。
平面にこのヒラキの状態のブランクスを並べて、頂点をプレーンで数回削ります。
この頂点を削る作業はブランクスの接着時に頂点同士が接触し、綺麗な六角形を形成する際に邪魔になるので、頂点部分を僅かに削って頂点同士の接触を防止します。
頂点の一部のみを削るので、プレーンにはほんのわずかな削りカスしかプレーンしか出てきません。
ここまでは特に特別なことはしておりません。
この頂点削りが終われば、いよいよ接着です。
でも、接着前にもうひと手間かけましょう。
ここ重要です。
接着する際も、ヒラキになった状態で接着剤を塗布して、バインダーで縛り上げるので、
頂点削りが終わった状態で、すぐに接着剤を塗ってバインディングを始めたいところなのですが、
ここはじっと我慢します。
頂点削りが終わったヒラキ状態のブランクスを刷毛等で削りカスを除去するんですが、除去できたと思ったブランクスのヒラキをよく観察してみると、小さな削りカスが結構ブランクスの間に残っているんです。
この状態で接着剤を塗布してバインディングしてしまうとどうなるでしょう?
接着後の接着部分をグルーラインと呼びますが、このグルーラインの一部に削りカスにより、一部接着剤厚さの厚い部分が出来たりするのです。
中には削りカス部分には接着剤が綺麗に充填されてない場合もありますので、頂点削り後にそのまま接着、バインディングするとトラブルの原因になってしまうのです。
頂点削り後には、一度マスキングテープを全部取り外して、ブランクスを刷毛で1本ずつ埃を取り払って、再度六角形に束ねて、マスキングテープを貼り付けて、一部をデザインナイフで切り込みを入れて、ヒラキの状態にして、接着、バインディングを行うようにします。
こうすることで、接着剤の厚みバラツキや接着剤の充填不良を防止することができるのです。
このようにひと手間かけることによって不要なトラブルを防止するのです。
接着に関しては使用する接着剤により、可使時間に差がありますが、私が使用しているTGX接着剤はこの可使時間が短いので、3PCSロッドまでなら一挙に接着しますが、4PSCになると接着を2回に分けて、計量、接着、バインディングを行っています。
バインディング後に錘を付けてブランクスを吊るしている人がいますが、これも私はやりません。
ブランクスに対して鉛直方向に錘を吊るすことが難しいと思うからです。
ブランクスに錘を吊るすことでブランクスにストレスを加えた状態で接着剤が硬化してしまうと内部応力をため込んだ状態になってしまうので、曲がり直しを行って、見た目はストレートになっていたとしても、時間経過とともに変形してしまうのです。
なぜなら、この変形した状態が、ブランクスにとっては一番ストレスがない状態だからです。
なので、変にストレスを加える可能性のあることはせずに単に吊るして接着剤の硬化を待った方が良いと考えています。
こう考えると接着後にブランクスを平面上で転がしてストレートにしますがこのときにしっかりと曲がりを直していくことが重要だと分かります。
曲がった状態で接着剤が硬化すると、その状態が一番ストレスフリーな状態なので、曲がり直しを行うことで、内部応力をため込んだ状態になるんです。
ということで、誰かに教えてもらったバンブーロッドビルディング、自己流で始めたバンブーロッドビルディング それぞれ色んな方々がいますが、バンブーロッドビルディングの一つ一つのプロセスをいろんな角度から俯瞰的に観察し、それぞれのプロセスでの一番いいやり方について考えてみるのも良いかもしれません。
早く、簡単に作ろうとしたバンブーロッドにはそれなりの爆弾があるのかもしれませんよ!