Clickerの修理依頼がありました。
リールはSouth BendのNo.1180と言うもので、フルーガーのプログレスリールとほぼ同形状のものです。
スプール側のギヤは問題ないようですが、クリッカーが摩耗して上手くギアに接触していないようでクリックが効いていませんでした。
この手のリールはクリッカーにスライド機構が付いており、このスライド機構を上側にするとギアからクリッカーが離れて、クリック音がしない状態になります。
まずはこのクリッカーとスライド機構を取り外すのですが、多分、ねじ止めして、余計な部分をグラインダーで削っているような構成でした。
スライダーの中心をセンタードリルで軽くもんでやると簡単にクリッカーが外れました。
クリッカーの形状を計測して、図面化して、加工していきます、小さなパーツなので加工中にずれたりすることがあるので、中心穴をはじめに加工して、この中心穴を利用してねじ止めして、輪郭を加工することにしました。
加工材料は真鍮です。元々は鉄製でもっと耐摩耗性が良い材料が望ましいのですが、ざっと100年間使用できたクリッカーです。材料が異なり耐摩耗性が1/10だったとしても10年耐えうるのです。
もし、それ以前に摩耗したらすぐに交換できるような構成にしました。
スライド機構パーツにメネジ加工を行ない、クリッカーをこのスライド機構にねじ止めするような構成にしました。
こうすることで簡単にクリッカーの交換ができます。
ネジの頭が高すぎるとスプールに干渉するのでネジ頭の高さを1.2mmの抑えて加工しました。
ネジはM2で作製しました。
採寸した寸法もばっちりで、見事にジャストフィットしております。
フルーガーの古いカタログがありまして、めくってみますとプログレス60で1.1ドル
プログレス80で1.2ドルと表記があります。
カタログは1931年製で戦前のものです。
プレスを多用して作られているとはいえ、この時代にスポーツフィッシングが既に始まっていいたことが凄いと思ってしまいます。
ハーディーなどはもっと古くからあるので、やはり歴史を感じてしまいますが、ハーディーが良いとされるのは、昔のリールばかりで、最近のリールに魅力を感じません。
なので、復刻版を作製して過去の栄光にすがっているように感じます。
ハーディーは好きですし、ハーディーのリールもたくさん持っていますが、最近のリールには興味がありません。
と、話はそれてしまいましたが、うまく加工できるか判らない状態で修理を引き受けましたが、何とか修理できて一安心しております。
プログレスリールは、ハンドルノブが朽ち果てたり、ノブのシャフトがグラついた個体が散見されます。
シャフトの交換、ノブの修理等も出来ますので、ご相談ください。