曲がり直しをはじめました。
竹割り済みのものが無かったので、竹割から始めました。
我が家のガレージは掘り込み式のガレージで、この奥に竹をストックしています。
引っ張り出すと1か所に割れがあるので、まずは竹割り鉈で2分割し、更に2分割、またまた2分割すると8分割になります。
ちなみに私は竹割は、最初に鉈で切り込みを入れ、5cm程度割いてからは手で割いていく手法で竹割をしています。
この時点で竹の内側の節部分を鉈で削り落とします。
ここから8分割の竹辺を1:2の割合で割いていきます。
2分割の場合は比較的簡単に割ることができるんですが、1:2の割合で割ると、普通は細いほうがより細くなっていき、使用不可能な状態になっていってしまうのです。
ではどうするかと言うと、1:2で割る場合、太い幅の竹辺を大きく曲げるように割いていくと細いほうの竹辺の幅が広くなっていきます。
簡単に言うと幅を広くしたい竹辺とは反対側の竹辺を大きく曲げるように割いていくと幅が広くなるのです。
手で竹を割いていくので、力の入れ具合を変えることで1:2に正確に割っていくことができます。
一番シンプルな竹らり方法ですが、力に入れ方を加減できるので簡単にできます。
このシンプルな作業というのは、実は非常に有効だと自分は考えていて、同じ成果を得られるならばシンプルな作業工程である方やローテクな工程を採用します。
例えば曲がり直しはヒートガンで行うよりは、アルコールランプで行います。
ロッドのコーティングはディッピングするよりは刷毛塗りで行います。
このようにできるだけシンプルでローテクな工法の方が応用が利くのです。
例えば刷毛塗りでコーティングをしていると、ロッドの補修で、ある一部分だけコーティングをやり直したい場合でも即座に対応できます。
竹割後はアルコールランプを使用して、静かに曲がり直しを行っていきます。2pcsロッドの場合、12本の竹辺で1本のバンブーロッドが出来上がりますが、1辺で約20分程度の曲がり直し時間がかかります。
また、1本の曲がり直しが終わると少し休憩を挟まないと集中力が続きません。
ですから結構な時間を費やして曲がり直しは行われるのです。
最近のSNS等で色んなビルダーさんの作業風景等の投稿を拝見していると、なかなか間違った作業をされていることがあり、気になることもあります。
まず、プレーニングフォームを2つの台の上において2点支持で設置されている人がいます。
プレーニングフォームは金属製で40mm×20mm×1560mm程度のものを使っている人がほとんどだと思いますが、このフォームを2点支持してその上をプレーンをのせて竹を削っていくとそれなりの力が加わります。
2点支持の上にプレーニングフォームを置くだけでも撓みます。
その上にプレーンを載せて削るともっと撓みます。
プレーンの刃の突き出し量は~0.05mm程度だとすると、この刃の突き出し量を超えるたわみが発生するような設置をして、精度よく削ることなどできないはずなのです。
プレーンで削るときにブランクの端部をクランパで押さえた状態で削っている光景を目にすることもあります。プレーンは全長160mm程度で後端から110mm程度のところに刃が出ています。
仮にクランパでの押さえ幅を10mmと仮定すると、
クランパでブランク後端を押さえるとブランクの後端から約120mmはプレーンの刃が当たりません。
この状態で1回プレーンを走らせると刃の突き出し量分の竹が削られます。
では2回目のプレーンを走らせることを考えてみましょう。
1回目のプレーン作業でブランクの後端から約120mmのところから0.05mm削られています。
2回目はプレーン作業でブランクの後端から約120mmのところは刃に接触しないので削ることが出来ません。
2回目のプレーンの刃が接触するのは後端から120mmから11mm離れると0.005mm刃が接触します。
完全に突き出しの刃が全部接触するのは110mm離れた部分、端部から230mm離れら部分になるのです。
これで精度よくブランクを削ることができるでしょうか?
もう一つ、プレーンで削っているときにブランクがフォームから完全に浮いてしまっているのを見かけます。
これって曲がり直しできていないブランクを私は強引に削っていますと言っているようなものです。
ブランクをフォームに載せた状態でほとんど浮きがない状態まで曲がり直しするのが望ましいのです。(1枚目の写真参照)
フォームから浮くならば曲がり直しをやり直してフォームから浮かないようしましょう。
バンブーロッドビルディング工程は色々な作業工程がありますが、最初の工程の方が重要です。
曲がり直しは根気のいる作業で楽しい作業ではありませんが、この工程と火入れの工程が最も重要な工程であると考えています。