最近、修理や加工依頼でモノづくりすることが多いのですが、しっかりとした図面を提出してくれる人はまずいません。
最初は加工可否判断でいいので、大まかな形状が判る絵や写真等を送っていただき加工可否判断するのですが、加工できると判断した場合においても自分の詳しくない分野のモノについてはどこのパーツでどのように使用されているのかよくわからないパーツと言うものがたまにあるのです。
こういったモノはどの程度の加工精度を求められているのかが判らないので、結構加工に気を使います。
単品加工であればしっかり計測しながら加工して納品しているのですが、加工図面というか、単なる寸法だけの図面の場合、どこが基準でどの部分の精度が重要なのかが判らないため加工しにくいのです。
当然ながら加工公差の記入などなく、仕上げ記号等もないのでどのレベルの加工を求めているのかが判らず、必要以上の作業をしてしまっていることも少なくありません。
依頼者に公差を聞いても良くわからないと回答されることがほとんどなのです。
1個だけの加工の場合はそれほど問題にならないのですが、
ある程度まとまった数量の加工の場合、どうしても加工バラツキが出てしまうのですが、そのバラツキをどこまで許容できるのかが判らないと歩留まりに大きく影響してくるのです。
写真のようなキャップ&リング&チェックなどは、外形の加工精度よりも内径の加工精度が重要視されます。
しかしながら内径を高精度に計測することは案外難しく、丸棒に10μmごとの段差を付けた基準棒を作製し、加工の度にこの基準棒を差し込んで精度確認しながら加工を進めてます。
これがなかなか大変な作業で、NC加工しても周囲温度やバイトの摩耗などにより加工精度が変化するため、ワークをセットしたら後はお任せとはならないのです。
最終加工の少し手前で加工を終わらせて、最終加工は基準棒で精度確認しながらのマニュアル加工になってしまうのです。
加工公差が判っていれば基準棒でMAX値とMIN値の基準を加工して、それに収まるかどうかの確認で良いのですが公差の指定がない場合は結構困ったものなのです。
自分が加工しているリールについても、精度を出しやすい加工と精度を出しにくい加工、または複数のパーツを組みあわせるために精度ばらつきが大きくなる場合等々があるのです。
そういった場合の対処方法として、簡単な形状のパーツを精度バラツキ吸収パーツとするのです。
例えば、ワッシャーで調整できるようならば、加工パーツの厚み調整しやすいパーツをワッシャー代わりに使用したりして加工したりするのです。
このような加工で精度バラツキを吸収するようにしております。
精度バラツキを無くすことは高価な装置を買わない限り難しいですが、精度バラツキを吸収するようなパーツを介在させることにより、最終商品としての精度を確保することは出来るのです。
全てがんじがらめにするのではなく、すこし調整する部分を設ける。
これはモノづくりに限らずに人間関係や、自分の考え方にも必要なんだと考えております。