前回、パートリッジのバンブーロッドに装着したいリールとして同梱されてきたHardy UNIQUA 2 7/8リールは通称ホールラッチと呼ばれている年代物のいい雰囲気を持つリールです。
このリールはノブの樹脂がヒビ割れており、このヒビ割れにより見かけ上樹脂部分が伸び、ノブの回転がスムーズではなくなっています。
Hardyリールはノブの固定用ネジの頭はフラットで、スリワリ等の加工が施されておりません。
これは見た目上のデザインのためなのか?勝手にいじられないようにしたためなのかは定かではありませんが、ユーザーがノブを分解できないことによるデメリットは結構多く、アンティークと呼ばれているリールのほとんどが樹脂割れがあったり、グリス切れで回転がスムーズではなかったりするのです。
ネジの頭にする割り加工されていれば、自分でメンテナンスできるので、アンティークリールであってももっと良い状態をキープできると思います。
このリールに関してはノブ自体は再利用できません。
また、私が作製するノブはメタルコアと呼んでいる金属製のパーツにノブを接着する構成にしています。
このメタルコアはノブを固定するネジと同一材料で作製しています。
このメタルコアを介在させることで、仮にノブ自体にひび割れが発生してサイズが変わっても回転に影響はなく、温度変化等の環境変化に対しても伸縮は同一材料であるために、回転がきつくなったり、ガタツキが生じたりすることがありません。
ノブ自体は今回は鹿角で作製しております。
このUNIQUAのノブ固定用のネジはUNC-No4(約2.8mm)になっていますが、最近のHardyリールの規格に合わせてUNC-No5に変更しています。
ネジはする割り加工を行ない、メンテナンス性を考慮し、ザブトンはネジの変更に伴い再作製しております。
加工する上で、案外このザブトンの加工が難しかったりするのです。
中ぐりバイトで座グリ加工して、外形の形状を整えて突っ切るのですが、この突っ切り状態のままでは精度が出ないので、突っ切った後のザブトンの裏面を綺麗に再度加工する必要があるのですが、この座布団を上手く旋盤に固定することが出来ないので、簡単な形状の割には加工に気を使うパーツなのです。
また、このリールはスプールを回転させるとスプールが波打ちます。
これはセンターシャフトとスプール径とのガタツキや、スプールの摩耗によりホールタッチで固定して隙間が大きい場合に生じます。
この場合もある部分にスペーサーを入れてガタツキを吸収させることで波打ちを小さくすることが可能です。
ということで、パートリッジのバンブーロッドもUNIQUAも無事に修理することが出来ました。