私の作製するリールはKnobを選べます。
鹿角、エボナイト、花梨瘤材、バンブー等々で加工可能です。
従いまして、ノブの修理に関してもノブ材料を選ぶことができます。
リールの修理の中でノブの破損が一番多いようで、今まで何台のノブ修理を行ってきたか判らないぐらい修理してきました。
小さな円筒形状のノブは加工が大変なように思われますが、意外と簡単なんです。
今日はこのノブの加工についてお話したいと思います。
アンティークリール等ではやはり鹿角を選ばれる方が多いです。
中には、象牙の印鑑を持ってきて、この象牙でノブを加工して欲しいと言われたこともあります。
鹿角でのノブの加工について説明したいと思います。
まず、鹿角を金切り鋸で切断していきます。
ノブ径は10mm程度、長さも15mm程度なので鹿角の径として20mm程度までの部分を切り出します。
余り太いと髄液の通り道部分のスカスカ部分がノブ表面に露出してくる恐れがあるので、出来るだけ先端部分から切り出すほうが安全です。
切り出し時の匂いは我慢するしかありません。
カット出来たら旋盤の主軸にチャックします。
この時に出来るだけセンターが出るようにチャックします。
そして、端面をバイトで切削して端面を出します。
次にCドリルを芯押し台のドリルチャックに固定してC穴加工を行ないます。
続いてφ4mm程度のドリル、最終寸法のドリルで穴加工を行ないます。
ドリルの最終寸法を仮に6mmとします。
次に治具を加工します。
材料は特に指定はないのですが、アルミなどのφ8mm程度の丸棒15mm程度の長さのモノを準備します。
端面加工して、端面から10mm程度までφ6.15mmになるまで外径切削加工を行ないます。
これが出来たら、端面から10mmの位置までバイトを持ってきて、Z軸の送りハンドルを+方向に戻しながらX軸をマイナス方向に少しずつ移動させて、テーパー加工をしていきます。
端面部分がφ5.9mm程度になるようなテーパーを加工していくのです。
一度で加工できなければ、これを繰り返して、テーパーを加工していきます。
この加工が出来たら、このテーパー治具に端面加工側の鹿角を押し込んでいきます。
回転させて、振れが無いように押し込んでいきます。
主軸を回転させて、もう一方の端面を加工します。
端面加工が出来たら、芯押し台に回転センターを取り付けて押します。
バイトで鹿角が円筒状態になるまで外形加工して行きます。
遠投になったらテーパー治具を取り外し、鹿角をチャックして、規定長さまで鹿角の端面加工を行ないます。
長さが決まったらもう一度テーパー治具に取り付けて、最終外径付近+0.1mm程度になるまで外形加工していきます。
外径切削後はテーパー治具に取り付けた状態でサンドペーパーで所望の形状になるように外径形状を整えます。
#240,#400,#800、白棒、青棒程度まで研磨すると綺麗に仕上がると思います。
私の作製するノブは内部にメタルコアと言うパーツを入れ込んでいるので内径を6mm程度にしていますが、通常のノブの場合は内径4mm程度の穴径になると思います。
また、座グリ穴加工をノブに行う場合は、ノブ長さを整えた後にエンドミルで所望の深さまで加工すると良いです。
また、端面加工を行なうと外径や寧系部分にバリが出るので、ヤスリ等で丁寧に取り除いて加工を行なってください。
簡単な治具1個作るだけで簡単に加工できますのでオリジナルのノブを加工してみてはいかがでしょうか?
ノブの破損の際は、ネジ部分も破損する場合が多いのですが、ハーディーに代表される海外製のリールの場合はネジがインチねじになっていますので、ご注意ください。
ちなみにハーディーのネジは1/8UNC(No.5)だったと思います。
手に負えないと感じましたら、いつでも加工を引き受けますので!