フルーガーのメダリスト1392と1492のリールフット交換の依頼がありました。
1492のほうはピラーはカシメられているものの、リールフット部分はネジ止めだったので特に問題はないのですが、1392の方はリールフット部分もカシメられている状態だったので、このカシメを取り外して交換するものと思っていましたが、オーナー様はリールフットのピラーをそのまま流用するようにしてフットを交換して欲しいとのことでした。
ちなみに1392には写真のようにラインガードがありません。
したがいまして、右巻きにも左巻きにも対応可能なリールと言うことで、なかなかいいリールだと思います。
ですが、リールフットの加工に関しては結構難題があります。
通常のリールフットの場合ピラー径は3mmにしており、3mmのボールエンドミルでピラーが載る部分を加工しているのですが、1392のピラー径は5.2mm程度なのです。
5.2mmのボールエンドミルなどないので、5mmのボールエンドミルを走らせて、0.2mmだけ移動させて再度加工するような感じで加工することにしました。
もう一つの難題は写真のように純正のリールフット裏面のネジが飛び出しているのです。
リールシートと密着したらネジ部分でリールシートにキズが入ってしまいます。
リールフットを加工しなおすから問題ないように思うでしょうが、この皿ネジをそのまま使用すると飛び出してしまう恐れがあるのです。
だったら皿ネジを作り直せばいいと思うのは当然の話なのですが、ネジサイズを確認すると、UNC#4-40-1/4でした。
このサイズのダイスは持ち合わせていないので、ネジ加工からやらなければなりません。
UNC#4-40-1/4のネジの諸元を確認して、NCプログラムを作成し、テスト加工してみますが1回目はネジがピラーに入りませんでした。
再度プログラムを調整して加工すると、今度はバッチリと収まりました。
あとはネジ外径と高さを調整すればフットの裏面から飛び出さないようなネジ形状を作り上げることが出来そうです。
フット部分の加工に関してはボールエンドミル部分以外は特に難しいところはありませんでしたので、サクッと加工完了。
ネジ加工後は皿ネジ形状に加工して、スリワリ加工すればネジの完成です。
数個単位であれば自分で加工しますが、加工数が多いと大変な作業となるのです。
写真左が1392 右が1492です。
1392は純正ピラーなので皿ネジがギリギリになりましたが裏面から飛び出すことなく取り付けることが出来ました。
1492は今まで通りのピラーなので皿ネジも少しい小さくM2を使用しているので、問題ありません。
M2のネジで大丈夫?と思われる方も多いと思いますが、M2のネジと3mm径のピラーを使用することで、何か衝撃があった場合一番弱い箇所はピラーのm2のメネジ部分になりここがまず破損します。
そうです。ここが破損することでリール本体のフレームやスプールに大きなダメージを与えずに、ここがクラッシャブルゾーンとなるのです。
フットのピラーは簡単に交換できますが、年代物のボディーは替えが効きません。
私のリールも同様な考えで敢えて一番弱い部分をリールフットのピラーにしており、こうすることで転倒時やリール落下時の衝撃で重要な部分にできるだけダメージが無いようにしています。
と言うことで、この2つのメダリストは使用るるロッドを選ぶこと無く、どのようなロッドにでも合うようなフットに無事交換することが出来ました。
ネジ加工のNCプログラムは重要部分は数行の簡単なプログラムなのですが、年に1度あるか無いかのことなので、いつも忘れたころにプログラム作成することになり、勉強する羽目になりますが、こんなことでも少しづつ成長できればと感じた加工になりました。
メダリストのリールフット裏面ネジの飛び出し等でお困りの方が居られましたらご相談ください。