Retro Rod&Reelのリールの中で最も高価なリールがBuddy stainless 花梨モデルです。
なぜ高級なのかと言うと、ステンレスは加工しにくい材料で、旋盤加工時の切り込み深さは真鍮の1/3程度、フライス加工時の切り込み量も真鍮の1/3しかも、1セット加工すると、エンドミルが切れなくなり、交換が必要なのです。
このように加工しにくい材料を使う理由とはなにか?
バンブーロッドやリール部品には良くニッケルシルバーが使用されます。
ニッケルシルバーは光沢があり、装飾品に使用されることもあり、また少しの鉛成分を含有させることで切削性が向上します。
では、なぜニッケルシルバーを使用してリールのフレームを加工しないのか?
その答えは、そんなに大きな直径のインゴットがないのです。
はっきりと覚えてはいませんが、最大直径が45mm程度までだったような....。
メーカーにインゴットの作製をお願いできないかと相談したこともあったのですが、200kg単位での販売となると言わっれたことを覚えています。
光沢、加工性ではニッケルするバーが魅力的なのですが、材料入手が不可能なのでニッケルシルバーに光沢が使い材料に中で、ステンレスを選択したのです。
ジュラルミンもシルバーで、磨き込めば輝くのですが、酢連レスの輝きとは異なります。2つを比べれば一目瞭然です。
さて、この輝かしい銀色の高級リールですが、はっきり申し上げてそんなに人気がありません。
硬化だということもあるのでしょうが、やはり Buddy Brass 花梨モデルの方が断然人気なのです。
なぜブラスの方が人気なのか?
考えられる要素として、
・価格
・カラー
・バランス
・風合い
が考えられます。
その中で、バランスと風合いが大きく影響しているのではないかと想像しているわけです。
ブラスと言ってもフレームとリールフット部が目立つ程度で、フェイスプレート、スプールは他の材料なのです。
ですから、真鍮のゴールと、フェイスプレートのウッド、スプールのシルバーのバランスが良いのではないかと思うのです。
また、真鍮は経時変化します。
時間がたてば、表面に酸化膜が形成され、少しくすんだゴールドになります。
この風合いが何ともいい感じなのです。一緒の時間を刻んだ後に風合いを変え、落ち着いた色合いになる、その変化を一緒に楽しむのも素敵な時間ではないかと思うのです。
私が作製するリールは、手を掛けて磨いているリールが大半です。
世の中にはいろんな色のリールが存在していますが、私は、材料自体が持つ素材の色を大切にしています。
決して色を付けたり、色を足したりは致しません。
磨けば光る、金属材料であれば当たり前のことですが、色を足してしまうと、磨いても、光らなくなるのです。
フェイクカラーを楽しむのも良いとは思いますが、私は素材を活かしたリールを作り続けます。
この素材の風合い、バランスを活かしたリールは一緒に大切な時間を過ごしてくれることでしょう!
勿論ステンレスモデルもお勧めです。