HARDY Uniqua 2 7/8 テレフォンラッチです。
修理依頼内容としては、ノブ用ネジが折れてしまったとのこと。
あと、スプールのガタツキを防止するためにシムを入れて欲しいとのことでした。
ノブ用ネジの一部はスプールに入り込んだ状態でした。
(写真は除去済みです)
まずは折れ込んだネジの一部を取り除くためにネジ中心にセンタードリル加工して、1mmのドリル、1.2mmのドリルの要領で徐々に径を増やして加工していくとネジが取れました。
このネジサイズはUNC-No3です。
このサイズのダイスを持っていないので、オネジは旋盤で加工します。
以前に加工プログラムを作成していたので、テスト加工を何度か行い、ジャストなネジになる条件で加工しました。
ネジ以外は純正パーツが残っているので、ノブと座布団を軽く磨いて完成です。
シムは内径8mmのシムを加工すればよいので、外径14mmの真鍮棒から数種類の厚みのシムを切り出してセンターシャフト部分に敷いて、最適厚さを確認すれば終了かと思いきや.....。
センターシャフトに対して、スプールの内径が大きく、ガタツキは、センターシャフトの軸方向のガタツキ以外に、スプールの面方向にもガタついていたのでした。
長い時間誰かのリールとして働いてきた名機なので、各部の摩耗が少なからずあるんですね!
以前も同様の修理をした記憶があったので、過去の写真を調べてみるとありました。
スプールの裏面のギヤ部分にφ8.8mm、深さ4.5mm程度の窪みがあるんですが、この窪みにきっちりと収まる外径のスペーサーを作製し、内径はセンターシャフトに合わせることで面方向のガタツキを抑えることができます。
また、このスペーサーの一部をギヤ部よりも突出させることで、センターシャフト方向のガタツキを抑えることができるのです。
写真にある真鍮製のスペーサがそれです。
このスペーサーを窪みに入れ込んで、スプールを組み上げてみると、ガタツキは抑えられていることを確認しました。
長い時間酷使されていることもあり、回転時に振れがありますが、これはスプール自体の変形によるものと思われます。
簡単に修理できると思っておりましたが、シム作製で案外と手間取ってしまいましたが、最前線でガンガン使用できるようになったのではないかと思います。
それにしても味わいのある良いリールです。