· 

HARDY 復刻版

私はHARDYリールの中では、BougleとPerfectリールが好きなんですが、どちらのリールもかなりの歴史があります。

UniquaやSt.Georgeなども同様、歴史があり、HARDYを語る上では欠かすことが出来ません。

時代を超えた機能美というか、歴史を含めた価値に魅力を感じるのも否定出来ません。

 

最近はそうでもないんですが、以前は3インチ以下のHARDYリールが発売されれば、1個は実使用に、もう1個は保管用に購入する程だったのです。

 

自分でリールを作るようになってからは、自分のリールを使っていないといけないような雰囲気にのまれて、自作リールを使っております。

ほとんど出番のなくなってしまったHARDYリール達ですが、手放そうとは思っておりません。

 

復刻版と聞くとそれだけで欲しくなってしまうほどの欲望はなくなってしまったのですが、今現在でも欲しくなってしまうフライマンも多いと思います。

さて、100年以上の歴史のあるリール達で、時代と共に進化していっているはずのリールなのですが、復刻版ともなれば、当時の形状をそのままに、ネジ1個に至るまで再現して欲しいと思うのがマニアだと思うのですが、

最近この復刻版に少し疑問を感じるようになったのです。

写真は復刻版と直接関係はありません。それらしい写真を貼ってみただけです。

 

あるフライマンより、センターネジの注文がありました。

HARDYのセンターネジはBougleでもPerfectでも最近のモデルはUNC-No.5(1/8インチ)の左ネジなのです。

 

UNC-No5(1/8インチ)の左ネジを送付したところ、うまく合わないとの連絡があり、郵送したネジの封筒が破れ、ネジが半分露出していたとのことで、てっきり露出したネジが変形するなどして上手くねじ込めなかったのではないかと思い、返送していただきました。

手元の戻ったねじを自分のリールに装着してみると問題なくねじ込めるのです。

 

仕方なく、リール本体を送付していただき、確認したところネジサイズが異なって絵いたのです。

このBougleのセンターネジはUNC-No.4の左ネジだったのです。

 

HARDYのリールはノブのネジも現在はUNC-No.5(1/8インチ)サイズになっていますが、以前はUNC-No.4でした。

設計当時は問題ないと思われていたネジサイズが、時代を経るにつれて、ネジの強度不足や破損等の問題が増え、その対策として設計変更されているのだと思うのですが、当時を再現するあまりに問題のある設計をそのまま採用してしまわなければならない状況になったのかのしれません。

 

ネジのサイズが小さくなると締結強度も低下するし、破断強度も低下します。それでも復刻との号令の下、それらを無視して復刻しなければならないのは、職人としては嫌だったに違いありません。

それでも営業サイドから復刻版でこれ位の利益が得られそうだと言われれば、トップの判断は復刻でGoなのでしょう!

 

組織内で、それぞれの職場で、いろんな意見があったに違いありません。

復刻版でも強度的な部分は低下させない設計にしたい部門もあれば、ネジ1個たりとも変更するなと言う部署もあったでしょう。

 

大きな組織になると、結局はどれが一番儲かるの?

となってしまうのでしょうね!

 

復刻はトラブルまでも復刻するかも!

まあ。お前は言われた修理をしとけ!と言われることはないので気が楽ですが、大事なことをその会社の技術者が決められなくなったら、どんどんお客さんは離れて行ってしまいます

 

たかがネジ1個ですが、そこを甘く見入ると信用落とす結果にもなるのです。