今まで作製してきたMagnet Releaserはφ10mmのマグネットを使用しておりました。
私が渓流で使用する分には全く問題なく、ネット内径~30cm程度のネット用として販売しておりました。
今年のハンドクラフト展で、友人が管釣り用のもう少し大きなネット用にMagnet Releaserを購入しようとしたので、止めたのです。
管釣り用の40cmを超えるようなランディングネットをこのMagnet Releaserを使用した場合、ゆっくりと歩く分には問題ないかもしれないけれど、岩を飛び越えたり、段差を飛び降りたりした衝撃でランディングネットが落下してフレームが傷ついたりすることが予想されたので、やめといたほうがいいと言って、Magnet Releaserを販売しなかったのです。
そんなこんなで少し磁力の強いモデルも加工してみようと思っていましたが、なかなか時間が取れず、今に至る訳です。
デザイン的には今までの形状をスケールアップした感じなので違和感はないと思うのですが、Magnetサイズアップのため、今まではφ10mmのMagnet を埋め込むための座グリ穴はφ10mmのエンドミルで加工できていましたが、今回はMagnetサイズがφ14mmなので、座グリ穴はエンドミル加工の後に中ぐりバイトで追加工が必要になりました。
全体サイズも大きくなっており、加工時間の増加もあり、今までよりも手間がかかっているのです。
Magnetの収まる座グリ穴部には、今までと同様にネジ穴を設け、ドーナツ型Magnetを接着+ネジ止めで、Magnetが脱落することを防止しています。
また、ヒートン部分はボディーと一体構造にしているので、ヒートンが抜け落ちるようなトラブルもありません。
安価なMagnet Releaserはヒートンが接着されているような構造だったり、マグネットも接着のみで固定されているものが大半で、ヒートンが抜ける、マグネットが剥離する等々のトラブルが散見されるようですが、そのようなトラブルを見越しての構造設計を行っており、安心して使用することができます。
ここではまだ未加工ですが、ボディーには円柱状のウッドを配置させて、見た目も綺麗なMagnet Releaserに仕上げる予定です。
磁力の強度にい関しては、今までのφ10mmのMagnetと比較して2.5倍の磁力になっていますので、管釣り用、湖用などの大型魚を対象としたランディングネットにも使用できると思います。
話は少しそれますが、Magnet Releaserに代わるものとして、機械式のネットリリーサーや、フェルールタイプのリリーサーがあります。
うたい文句として、砂鉄に悩まされないとか、外れにくいなどの表記があるようです。
でも、違うんです。
Magnet Releaserの一番のメリットは磁力によるセルフアライメント吸着なんです。
ベストのDカンに一方のMagnet Releaserが取り付けられ、他方がランディングネットに取り付けられたマグネットは、ランディングネットをDカン付近に近づけるとマグネットの磁力により、勝手に磁石同士が吸着してくれるのです。
ですから、片手でランディイングネットをDカン付近に近づけるだけで完結するワンハンドオペレーションでネットを正規の位置に戻すことができるのです。
これに対して、機械式のネットリリーサーや、フェルールタイプ(オスメスを差し込むタイプ)のリリーサーはどうでしょう?
セルフで何かやってくれますか?
Dカンに取り付けられた一方のリリーサーに対して、ネット側のリリーサーを正確に位置決めして押し込む動作が必要なのです。
これって片手じゃ無理なんです。両手を使って行う必要があるんです。
でもね、良く考えると、ネットを使った時と言うのはトラウトが釣れた時なんです。
写真を撮って、リリースして、ロッドを持って、ネットを取り付けようとすると、両手を使わないといけないので、またロッドを置いて、両手を使ってリリーサーを押し込む必要があるのです。
五十肩の親父には辛い動作だったりするんです。
フロータントケースも然り、ワンハンドオペレーション出来るとできないとでは大違いなのです。
ちょっとしたストレスが集中力に大きく影響します。
考えられるトラブル要因を排除する構造であるとともに、釣り人の所作を考えてのMagnet Releaserなのです。
勿論リーシュコードを併用して大切なネットを無くさないようにしましょう。