Bill Ballanリールの修理先がないので、結構頻繁に修理依頼があります。
一番多い修理依頼はクリックが効かなくなった。
2番目はネジの紛失
3番目がノブの破損です。
クリックが効かなくなったリールを見てみると、三角形のクリッカーの先端部の摩耗により、ギヤに接触しなくなり、クリックが機能しない場合が一番多いです。
ここから核心的な話に入ります。
クリックを構成しているパーツは、クリッカー、ショルダーボルト(固定用ネジ)、板バネです。
クリッカーにはショルダーボルトで位置決めする穴が開いています。
ショルダーボルトの代わりにショルダーピンを圧入している場合もあります。
さて、このクリッカーですが、クリッカー部分を手に持って動かすと結構動くんです。
動くというのは、ネジとクリッカーにクリアランス(遊び)があるんです。
結構グラつくので、計測してみると、クリッカーの穴径が約2.85mm、ショルダーボルトのショルダー部穴に収まる部分)の径約2.38mm
2.85mmに穴に対して2.38mmで規制しているので、0.47mmのガタがあることになります。
クリッカー穴中心とショルダーボルト中心が一致していると考えた場合に対して、0.47/2=0.235mmほど、ギヤから離れることになります。
この状態で、ギリギリギヤと接触せずにクリックが機能しないのです。
ガタツキが±0.235mmあるので、このガタツキを抑えてやればギヤから逃げていた分をギヤに近づけられるので、クリックが復活すると考えたのです。
クリッカーの穴に収まり、ショルダーボルトにも収まるパイプ状のスペーサーを加工しました。
外径2.85mm、内径2.4mmのパイプを加工してみました。
浩のスペーサーを取り付けることで、(2.85-2.4)/2=0.225mmだけ今までよりもクリッカーがギヤに近づくのです。
摩耗して少しエッジが丸まったクリッカーが0.225mmギヤに近づくと、十分クリックが機能します。
また、初期摩耗を経たクリッカーなので摩耗の進行は新品のクリッカーよりも穏やかなのです。
ということで、簡単にクリックの不具合を解消することができるのです。
ショルダーボルトにスリワリ加工されたものであれば、スペーサーを加工して取り付けるだけなので簡単な加工で済みます。
ショルダーピンの場合はネジに作り替えたりする場合、タップ加工、ネジの作製等が必要になる場合があるので、少し値段は上がりますが、それでもクリッカーの作り直しを考えた場合よりも安価に加工することができるのです。
あまり大きく公表すると修理依頼が多くなり、自分の本来の業務に支障が出るかもしれませんので、このblogだけに留めておこうと思っております。
クリックの不具合を何度も修理していて気付いたことです。
不具合の原因をい探っていくと見えてきたのです。
何故?と疑問を持って取り組むことが重要ですね!