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プレーン

プレーン(カンナ)ですが洋カンナは押して切り込みます。

洋式のノコギリも押して切り込みます。

日本の場合はノコギリもカンナも引いて切り込むので最初はやり辛さを感じたのを覚えています。

もう25年以上も前の話ですが...。

 

カンナに関して、日本のカンナの刃を研ぐのは職人さんのイメージがあり、勘所は先輩の背中を見て覚える的なイメージが付きまといます。

 

反対に洋カンナについては、刃を研ぐのに刃の突き出しを管理するツールがあり、そのツールで刃の突き出しを一定にすれば、誰でも簡単に刃を研ぐことができるように合理的になっています。

 

日本では出来るだけ秘密にしておきたいノウハウを外国では、オープンにして誰でもできるようにしている。

お国柄の違いが良くわかります。

よく切れる刃があれば、誰でも簡単に竹辺を削っていくことができます。

それは、プレーニングフォームと言った竹辺を保持する治具があるので、その上に竹辺を置いてプレーンで平行に削れば、必要なテーパーに削ることができるのです。

 

但し、竹辺が曲がっているとプレーニングフォームに上手く嵌り込まないので、精度を出すことが出来なくなります。

また、切れの悪い刃で強引に削ろうとしても同様に精度を出すことが難しくなるのです。

プレーンの刃は洋カンナを買った時には専用に刃が付属しているのですが、焼き入れに居問題なのか刃の組成の問題なのか、すぐに切れが悪くなるのです。

日本製の刃に交換することで切れが持続するようになります。

その辺については、刀鍛冶等の歴史を受けついでいる日本ならではの技術だと思います。

 

刃を研いで竹辺を削る作業を四半世紀以上やってきていますので、竹の削りカスを見れば刃のキレの状態が判ります。

 

Facebookに竹辺と竹の削りカスをアップしている人がいますが、中にはとんでもない削りカスをアップしている方もいます。

 

最近の写真は画素数が大きいので、拡大しても結構綺麗に表示されるので、拡大してよく確認することがあるんですが、竹辺自体もガタガタで、削りカスもいかにも削れないカンナを強引にい押して削りましたと言わんばかりの削りカスが横たわっているのです。

 

各ツールがしっかりしているので、下記プロセスを正確に行えば精度の良いバンブーロッドを作製することができると思うのですが、その多々あるプロセスをいい加減にやれば、見た目は六角形のバンブーロッドでも、全然異なるロッドになります。

 

キレの悪いカンナでは精度を出しにくいのですが、その精度の出ていないロッドで六角のバンブーフェルールにしてしまっているのです。

私は、同じテーパーのロッドで、メタルフェルールとバンブーフェルールのロッドを振り比べてみたことがありませんので、バンブーフェルールにすることによるメリットがどの程度なのかはっきり言って理解していません。

 

以前にバンブーの各6辺の正三角形の高さを各部分で計測して、加工精度バラツキを計測したことがあります。

丁寧に作業しても各ポイントでのバラツキはレンジで25μm程度出てしまいます。

これが6辺合わさってろ六角形になるので、対面幅はレンジで50μm程度のバラツキがあっても不思議ではありません。

それに対して内側を削ってバンブーフェルールのフィメール(メスフェルール)を作製しようとするには、六角の竹辺の表面を基準にして正三角形の頂点部を削り取ってメスフェルールにしていくのです。

 

先ほど言ったように各6辺の正三角形の高さバラツキはレンジで25μm程度なのに対して、表面を基準に削り込みますが、この削りはプレーンではなく、ヤスリや回転ツールでの除去加工なのです。

精度良く加工できない加工なので仮に、50μm程度のバラツキとすると、メスフェルールに設けられた六角形の精度が出ていないことはよくわかると思います。

 

これに対してオス側の六角形(対面幅はレンジで50μm程度のバラツキ)のバンブーロッドを押し込んでいくと、どうなるでしょうか?

 

面接触するのが理想ではありますが、この加工精度なので、線接触、いや、点接触になっているかもしれません。

オス側は作製時にテーパーになるように加工していますが、メス側の内側に同様のテーパーを作ろうとしても同様のテーパーにはならず、上記バラツキを持ち合わせているので、面接触など不可能なのです。

 

金属フェルールは旋盤で高速回転させながら削ります。

また、フェルールのすり合わせに関しても、回転させながら行いますので、最終的にはニュルッとオスフェルールがメスフェルールに入っていきます。

これこそが面当たりなのです。

 

点接触しているバンブーフェルールをキャスティングするとどうなるか?

キャスト時の負荷は点接触している部分に集中します。その部分は摩耗していきます。

次にフェルールを差し込むと接触状態が変わります。同様に点接触している部分に応力集中します。

補強にためにグルグルに巻かれたスレッドであってもこの応力集中により接着剤が剥離したりスレッドが切れたりしてしまいます。

これは結構短期間で起きても不思議ではありません。

何十年も問題なく使用できるとは思えないのです。

 

フェルールを同じ竹材料にすることで同一の曲がりとなって一体感が生まれるとか言ってますが、実際は精度の出ていない加工で点接触しかしておらず、補強のためにメスフェルール全体にスレッドをグルグル巻きにして接着剤で固められたものが竹と同一と考えられるのでしょうか?

 

私は、加工側からみた一技術者として、精度の良いものを必要最小限のサイズのメタルフェルールとして竹竿に組み込むほうが好ましいと思っています。

竹と金属は曲がりが異なります。

だからこそ、

フェルール部分のテーパーを調整したりして、一体的な曲がりになるように全体的な曲がりを確認しながらテーパー調整しているのです。

 

フェルール自体の膨らみがロッドデザイン的に気に入らないためにスイスタイプでなく、ステップダウンフェルールにしてまでロッド全体のデザインにこだわる人が、バンブーフェルールのお不自然な膨らみを許せるはずもないのです。

 

ロッドは美しくあるもの!

奇抜さを狙ったところで、美しくなければ意味がありません。

 

バンブーフェルールで一体化したロッドアクションと言っている方々はきっと素晴らしいキャスティングをされていることでしょう。

一度そのキャスティングを間近で見てみたいものです。

 

プレーンから排出された削りカスからでもビルダーさんの技量を垣間見ることができるのです。