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ローレット加工

ロッドのリールシート金具には滑り止めとしてローレット加工(別名:ナーリング)しているものがあります。

滑り止めと言いましたが、中には溝の中にローレット加工したものがあり、これは滑り止めの硬化は全くなく、装飾としての加工になります。

 

ローレット加工には、一般的に転写方式と切削方式とがありますが、ロッドの金具に関してはほとんどがローレットの駒を当てて転写する方式のようです。

ローレットの駒は規格品であり、溝幅1mm程度の溝内に転写するにはローレットの転写部分を1mm幅に加工する必要があり、ローレットの駒を旋盤にチャックしてダイヤモンドやすりで幅1mmになるように両サイドを削って凸状のローレットの駒に加工していくのです。

 

溝内ではなく、外周にローレット加工する場合は、市販のローレットの駒を押し当てて転写して加工していきます。

ローレットの駒には綾目と平目がありますが、ロッド金具は平目が多いような気がします。

綾目は斜めのローレットの駒を交差するように配置して転写することで作製していきますが、この斜めのローレットの駒を1つ使用して斜めのローレットとして使用する場合もあります。

 

駒とワークを接触させてから規定量だけ押し込んで転写させるのですが、この加工が案外難しいのです。

加工の条件としては、回転数、押し込み量、押し込み速度の3つのパラメータだけなので簡単に加工条件が求められると思うのですが、安定した加工が出来ないのです。

 

10個加工したら1個程度はNG品が出てしまいます。

その主な原因はローレットのピッチズレなのです。

ピッチズレはローレットの駒のピッチとワーク外周によって決まりますが、計算通りにはいかずピッチズレが生じてしまいます。

往々にして、最初の切り込みが甘い場合に発生するようです。

 

外周のローレットの場合ワークと駒を接触させた位置を確認し、Z軸をずらした位置でX軸を規定量だけ押し込んで、主軸回転後にZ軸を移動させると駒がワークにしっかりと食い込んでピッチズレが減少します。

 

問題なのは溝内のローレットです。

Z軸を移動させることが出来ないのでX軸の押し込みだけでピッチズレがないようにする必要があるのです。

 

仮に0.6mm押し込むとした場合に、0.2mm刻みで押し込んだ方が良いのか、もっと最初に食い込ませた方が良いのか、また、この押し込みは主軸を回転させながらの動作なのか、主軸を止めた状態でスタートするのか等々を、数多くやってみないと歩留まり確認が出来ないので、なかなかこうすればかなりの確率でローレット加工できますという条件に巡り合えていないのが実情なのです。

 

どなたか良いアドバイスがあれば教えて頂きたいです。