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Buddy リヤセンターネジ

リールを構成するパーツ類はある程度まとめて加工することが多いのです。

その加工数はパーツの難易度によっても変わってきますが、通常は数台分のストックを持つようにしています。

 

最近は数台のリールを加工したこともあってそろそろパーツのストックが無くなりそうだと思っていた矢先に、1本のメールがありました。

 

「Buddyのリヤセンターネジを紛失したので、予備を合わせて2個欲しい」とのことでした。

通常であれば、ストックの中から発送するのですが、生憎ストックがない状態になっており、少し時間を下さいと連絡をしたのです。

 

前回のブログでローレット加工の話をしたように、最近はリールシート金具の注文品をまとめて加工していたこともあり、その加工がひと段落したタイミングで、ネジ加工することにしました。

 

取り敢えず、手元にあってφ12mmのニッケルシルバー棒の端面を加工して、写真のようにローレット部分が凸状になるような形状に加工します。

端面にはφ5.3mmのドリル穴を深さ6.5mmまで加工した後に、φ3mmのエンドミルで深さ7mmまで加工します。

 

このドリル穴にM6×0.75のタップ加工を施します。

タップ加工後、凸部にローレット加工を行ない、端部から8.5mmの位置で突っ切ります。

写真は突っ切り加工直後のもので、タップ加工後のオイル等が付着した状態になっています。

 

このあと、m6のネジ穴に合うオネジに突っ切ったパーツを取り付けて、端部の加工を行ない、外径形状を加工していきます

外形加工は加工プログラムを作成しているので、自動で加工することができます。

 

加工後の飾りネジをサンドペーパーでツールマークを消すように研磨していきます。

#400,#800で研磨して、白棒、青棒、更に細かなコンパウンドで研磨して、洗浄したら完成です。

 

加工プログラムを作成していれば、簡単に加工できると思われがちですが、穴あけや、ねじ切り、ローレット加工、突っ切り、端面加工等は手作業なので、結構時間が掛かってしまいます。

 

研磨も1個ずつ時間を掛けて研磨していくので、時間は掛かってしまいますが、時間を掛けずにツールマークの付いたネジよりも、ピカピカに研磨されたものの方が自分的には魅力的だと思うのでそのような加工を行なっています。

 

手を掛ける分だけリールの値段に跳ね返ってくるのですが、自分が欲しいと思うリール以外は作りたくないので、今はこの時間を掛けたリールを作り続けています。

安価な大陸性のリールにはコスト的にかなう訳はないので、大量生産しているメーカーが最もやりたくないと思っている、1個づつ手間暇かけた加工を採用しています。

 

ネジなんてどんな形状であっても関係ないと思う方々は、大陸製の安価なリールをお求めください。

「神は細部に宿る」

細かな部分まで日本人ならではのきめ細やかさで、コツコツと加工しています。

沢山作ることは出来ませんが、その分時間を掛けて丁寧に作製しています。

 

リヤセンターネジ6個ほど加工完了です。