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ノブ加工

HARDY Featherweightのノブ紛失と言うことで修理依頼がありました。

前にも書いたことがありますが、HARDY のリールはノブ固定ねじのスリワリ(マイナスネジ)がなく、グリスアップや、メンテが出来ないのです。

 

スリワリ加工なしでノブを固定することで技術力を誇示したいのか知りませんが、メンテ出来ないリールと言うのはなんだかなあ と思うのです。

 

さて、このフェザーウエイトはノブ紛失で、確認するとメネジは問題ないことが判りました。

1/8UNCのインチネジです。

 

加工するのは、スリワリネジ、ノブ、ザブトン、メタルコアの4点です。

 

いつも思うのですが、この4点の加工ストックを作っておけば、修理依頼に対しても即座に対応できるのですが、ストックを作る余裕がないので、毎回ボチボチと対応しているのです。

 

 

今まで結構な数ノブの加工を行なってきましたが、HARDYリールやORVISリールによくあるいわゆるザブトンの加工が案外大変なのです。

 

外径11mm程度で、内径9.8mm程度、厚さが2mm程度で深さが1mm程度、中心穴が3.2mmのサイズ感なのですが、

丸棒をφ11mmに加工し、センターに3.2mmのドリル穴を加工し、中ぐりバイトで内径9.8mm、深さ1mmの座グリ穴を加工していきます。

ここまでは問題なく加工できるのです。

次に突っ切りバイトで2.5mm幅程度の突っ切ります。

次に2.5mm厚のザブトンの厚さを0.5mm削っていくのですが、これが案外悩ましいのです。

 

丸棒をφ9.7mm程度に加工し、座グリ面部分をφ9.7mmの部分に両面テープで貼り付けて、底面を0.5mm加工していきます。

 

切り込みを大きくすると加工熱により両面テープが剥離するので、切り込みを小さくして加工熱の発生を抑えながら加工していきます。

加工熱が大きいと予想される場合は瞬間接着剤で固定することも考えられますが、接着剤を綺麗に剥離させるにはアセトンなどで洗浄する必要があり、大変なので、両面テープに頼っています。

 

と言うこで、1/8UNCのダイスがあればネジ加工は出来ますが、スリワリ加工もまた案外難しい加工なのです。

自分で加工するとなると1日ががりで奮闘する程時間が掛かります。

それは、ノブのガタツキをあるレベル以下にするには0.05mm以下の加工精度が必要になるので、慣れないと、加工に失敗することも多いからなのです。

 

何が言いたいかと言うと、加工時間を人件費換算してみれば、加工に出した方が安くなるということなのです。

「餅は餅屋」なのです。

 

オフシーズンとなり、修理依頼も増えてくると予想されます。

修理依頼の際は、修理箇所の写真を添付して頂ければ幸いです。