Waterworksリールは今どきのラージアーバーリールを代表するようなリールです。
ラージアーバーリールは、フライラインの巻き癖が付きにくく、巻取り速度も速く、素晴らしいドラグ機構も兼ね備えており、リールとしてはほぼ完璧に近いリールです。
唯一の難点と言えば、リール自体の持っている雰囲気というか、味わいみたいなものが少ないのかな!と思うのです。
Master-Craft展開催中に4台と、その後送られてきたリール1台、また、既に修理待ちリールを合わせると、8台の入院状態なので、順次修理を始めていきます。
このWaterworksリールは正逆回転どちらもドラグが掛かるとのこと、また、スプールが外れないとのことでした。
何台も修理していると、この症状を聞いただけでドラグ用のワンウェイクラッチが機能していないこと、このワンウェイクラッチがシャフトに固着していることが想像できました。
まずリールを分解するところからです。
ドラグ用のダイヤル部に丸穴2つのネジがあるので、多分これを外せば分解できそうです。
穴ピッチを計測し、同一ピッチでφ1mmのドリル穴を2つ開けました。
このドリル穴に1mmのドリルを反対にして挿入し、このドリルの後端部を丸穴2つのネジに入れて回転させて、ネジを取り外しました。
スプールの取り外しは出来ました。
しかしながら予想通りスプール側のシャフトにワンウェイクラッチが固着しています。
一晩潤滑油の中に浸して様子を見ることにしました。
固着は外れません。
ワンウェイクラッチの外周の窪みにマイナスドライバーを差し込んでプラスチックハンマーで少しづつ叩いていくとワンウェイクラッチが回転し、抜くことが出来ました。
ワンウェイクラッチ内部は錆びだらけで、錆によりシャフトに固着していたのです。
取り外したワンウェイクラッチを再度シャフトに取り付けて回してみると、ワンウェイクラッチとしての機能は損なわれていないようです。
シャフトに回転させると錆色の潤滑剤が流れます。それを拭き取り、再度潤滑剤を塗りシャフトに回転させることを繰り返し、錆色の潤滑油が透明になるまで繰り返しました。
回転もスムーズで、逆方向はしっかりとロックが掛かります。
ワンウェイクラッチにグリースアップして細かな部分をクリーニングして、組み立てていきます。
修理と言いながらも今回はワンウェイクラッチのオーバーホールで再利用できましたので、私が加工したパーツは、ネジ取り外し用治具ぐらいです。
組み上げると、軽やかに回転し、反転時はしっかりとドラグが効きます。
Waterworksリールのように密封型の構造の場合は、比較的水分は入りにくいのですが、反対に入ってしまうと蒸発しにくく、錆付きの原因になるようです。
リールは金属パーツを多用されています。
また、異種金属同士が接触している構造もあります。
水にぬれた状態が続くと水を媒介とした電池になり、電蝕の原因になります。
リールは水に中に入れない。
これを守って頂くことが重要です。
どうしても濡れてしまった場合はよく乾燥させることと、グリースアップをすることを心掛けましょう。