Bill Ballanの修理依頼です。
1、ピラー部のネジ紛失
2,クリック不良
Bill Ballanのクリック不良は良くあります。
購入して30年程度たつと大概クリッカーが摩耗してクリックが機能しなくなります。
Bill Ballanのクリックはノッチ数が多く、細かなギヤが使用されているのでクリックの感触は良いと思います。
さて、このBill Ballannネジに関しては、以前何度か加工した記憶があり、そのレシピを参考に加工できました。
とは言っても、ダイスがないので、NC旋盤でねじ切りプログラムでの加工となります。
ねじ切り加工は、ツールの形状等により、同じプログラムで加工しても同じネジ形状にはならず、何度か加工テストを行いネジがメネジにフィットする条件を見つけてから本番のネジ加工を行なう必要ががるので、ネジ1個の加工ですが、実は何個も加工しているのです。
クリックの修理ですが、本来であれば、クリックを固定している圧入ピンが上手く抜けず、ピンが収まっていた部分にメネジ加工して、ピンの代わりにオネジでクリッカーを固定するのですが、今回はピンを綺麗に抜くことができ、再利用できそうです。
Bill Ballanのクリッカーの最大の問題は、ピンとクリッカーの穴サイズのクリアランスが大きい事です。
計測したところ、ピン径は2.38mm、これに対してクリッカーの穴径は2.9mm
でした。
ピンに対してクリッカーの穴が±0.26mmガタついていることになります。
逆を言えば、このクリアランスを可能な限り小さくしてやれば、クリッカーの位置を現状よりも0.25mm程度ギヤに近づけることができるのです。
Bill Ballannのクリッカーはギヤに対して少しずれた位置にクリッカーが配置されているので、クリッカーの先端部分は一部を残してギヤと接触し摩耗しているのが判ります。
その摩耗量は0.2~0.3mm程度なのです。
これに対してクリッカーの位置を0.25mmギヤに近づけることが出来ればクリッカーは復活するのです。
もう一つ付け加えれば、新品のクリッカーはギヤに接触する部分のエッジが立っています。
修理するクリッカーは先端部分が0.2~0.3mm摩耗しています。すなわち エッジが立っていて初期摩耗しやすい形状から少し摩耗している状態になっているのでこの状態でギヤに上手く接触する場合は新品のエッジの立っているクリッカーよりも摩耗しにくいのです。
今までのクリッカーを上手く再利用してクリッカーの先端をギヤに接触させるためにピンにスペーサーを介在させてクリアランスを規制させます。
こうすることによってギヤに接触するようになります。
肉厚の薄いパイプを加工できれば、後は簡単なので、是非トライして欲しいです。