
HARDY The L.R.H Ligrtweight センターシャフトが細く、ラッチカバーが3スクリューのオールドモデル
私はオールドハーディーに詳しくはないのですが、ラインガードの形状なども今まで見たことが無く、貴重なリールだということが雰囲気から伝わるようなリールです。
このリールは昨年の9月に修理依頼で預かっており、ずっと気にはなっていたのですが、どうやって修理するかが自分の中で修理工程がまとまらず、ほぼペンディング状態になっていたのです。
4月から料金体系の移行等も控えており、今入院中のリールはとりあえず3月中に退院させてあげようと考えておりました。
さて、このL.R.Hリールはリールフットが純正品ではないとのことで、真鍮製のリブフットに交換して欲しいとの依頼でした。

写真はリールフットを固定しているネジを取り外したところなのですが、フットの穴ピッチとリール本体の取付穴ピッチが異なっています。
これに強引にネジを入れ込んで固定してはいますが、ネジが上手くかみ合っていない状態で、残念な状態だったのです。
また、取り付けネジの頭がリールフットの座グリ穴よりも飛び出していて、リールをロッドに取り付ける際にこのネジ頭によりリールシートフィラーにキズを付けてしまう恐れもありました。
オールドハーディーリールはリールフットのリールフレームへの取り付け面がフラットではなく、リールフレームのRに沿った形状をしています。
このリールはフレーム直径が78.18mmで、リールフットの取り付け面はR39.09mmのR形状になっているのです。
このリールフットの取り付け面のR39.09mmをどのようにして加工するのか、悩んんでいました。
また、オールドハーディーリールはこのR面と同時にアリ溝が形成されているのですが、後付けのこのフットを取り付ける際にアリ溝部分を削ってアリ溝が機能しない状態になっておりました。

とりあえず図面作製しながら加工方法を考えようと思いました。
直径30mmの真鍮棒から加工を行なっていきます。
最初にフットの長さになるように丸棒にの長さを調整します。
次に内径18mmになるようにドリル加工、中ぐり加工を行なっていきます。
次にリブフット形状に波型テーパー状に加工していきます。
この状態から一旦取り付け面をフラットになるように加工して、リールフットの高さを規制します。
この次にリールフットの取付穴を加工しますが、純正の取り付け穴は強引にネジ止め等が行われてねじ山がつぶれています。
穴の開いてない対角に新たにネジ穴を加工しないといけません。
ネジサイズはM2.6としました。
ネジの下穴はφ2.1mmです。
リールフットのネジ穴部にまずφ2.1mmのドリル穴で穴加工を行ないました。(理由はあとで説明いたします)
ここからR面加工なのですが3次元加工で等高線加工を切り込み量を抑えながら加工することで加工が出来そうなことと、この加工であれば、バイスからリールフットを取り外すことなく加工できるので、加工精度を維持できると考え、等高線加工することにしました。
(写真はリールフットのR面の等高線加工している途中の写真です)
細かく加工していくので少し時間は掛かりましたが、希望通りの形状を加工できました。
このあとはリールフットの形状に輪郭加工して切り出します。
加工後のリールフットをリールに当てがって瞬間接着剤で仮固定しました。
続いてリールフットに開けたφ2.1mmのドリル穴をガイドにして、リール本体にφ2.1mmのドリル穴加工を行ないました。
更に、M2.6mmのタップ加工でネジ穴を形成しました。
リールフットを取り外し、M2.6mmのネジが通るφ2.6mmのドリルで穴径を拡大します。
続いて、リールフットを反対に向けてフライス盤のバイスに固定して、チャックにφ2.6mmのドリルをチャックし、このドリルがリールフットの穴に合うように位置調整して、エンドミルで座グリ穴を加工するのですが、ネジの頭が出ない深さまで慎重に加工していきます。
これを繰り返して座グリ穴加工を行ないます。
これで加工は完了です。後は加工した部分のツールマークが消えるまで研磨していきます。

加工だけでも結構な時間が掛かりましたが、実際にはこれらの加工を行なうためには図面が必要で、図面作製時間を合わせると結構な時間になってしまいます。
実際にリールフットを取り付けてみると、ねじ長さが長すぎて、ネジをカットしたり、ネジ頭が大きすぎるネジの頭と外形を少し削ったりして、ジャストフィットするように調整して、無事に取り付け終わると、凄くカッコいいのです。
リールフットのR面部分もリール本体にピッタリで、加工自体は上手くできたのではないかと思っています。
これで無事退院かと思われましたが、オーナー様より、別のケガを直してほしいとのことで、引き続き入院することとなりました。